親知らず抜歯で
後悔しないために
親知らずを抜いて後悔しないために、抜く前に知って欲しいことがたくさんあります。
親知らずを抜くということは、患者さまにとって重大な出来事の一つだと思いますので、抜いて後悔しないようにしましょう。
親知らずは、1度に何本抜けるの?
患者さまから「親知らずは1度に何本抜くことができますか?」と質問されることが比較的多くあります。
どうせ抜くらなら全部一気に抜けば良かった!と仰る方が多いです。また特に女性の患者さまは、どうせ痛いなら4本一気に抜きたいと仰る方が多いです。
親知らずは、1度に4本全て抜くことも可能です。しかし、上下左右が腫れて痛み、食事がしにくくなります。これが親知らずを4本一気に抜くときのデメリットです。
私がオススメするのは、どちらか片側上下2本ずつ抜くことです。片側が腫れても反対側の歯で食事を摂ることができるからです。
当然1本ずつ抜くことも可能です。抜いた後の状態を一度把握してから、複数本抜く選択をする患者さまもたくさんいます。
親知らずを抜くと腫れる?
「親知らずを抜くと腫れる。と良く耳にしますが、本当でしょうか?」
本当です。個人差がありますが、親知らずを抜くと腫れます。特に下あごの親知らずを抜くと腫れます。
確かに腫れない方もいますが、多くの場合、歯ぐきを開いて骨の上に乗っている骨膜を剥がすために腫れると考えられます。
そのため骨膜を剥がすことが少ない上あごは、そもそも骨も柔らかいこともあり、腫れが少ないのだと思います。
では、一体どのくらいの間、腫れているのでしょうか?
腫れるピークは、親知らずを抜いて48時間後になります。多くの場合4日目くらいから徐々に腫れが治まり、7~10日ほどで腫れが引くのが一般的です。
親知らずの抜歯は、10日ほどは腫れる可能性も考え、しっかりと予定を組みましょう。重要な会議やイベントは避けたほうが無難です。
親知らず(智歯)抜歯後の腫れや痛み
親知らずを抜くと痛い?
親知らずは、抜く前にしっかりと麻酔をかけます。そのため、抜いている時の痛みを感じることは、少ないと思います。
しかし、抜くために圧力をかけたり、親知らずを割ったり、削る際の振動もあるため、それを痛みと感じてしまう患者さまもいらっしゃいます。
基本的には、きちんと麻酔が効いていれば親知らずを抜く際に痛みを感じることは、ほとんどないでしょう。
親知らず(智歯)の痛み
親知らずを抜くと喉まで痛くなる?
親知らずを抜いたのに、なぜか喉まで痛くなることがあります。特に下あごの親知らずを抜いた際は、唾液を飲み込みにくくなることがあります。
これは、親知らずを抜く際に、骨を削ったり、骨の膜を剥がしたりした際の炎症が。親知らずと近い喉のリンパに波及しやすいことによります。
対処方法としては、
- 安静に過ごす
- 口腔内を清潔に保つ
- 抗生物質をしっかりと服用する
- 痛み止めを服用して痛みを抑える
痛みがあるのに、痛み止めを飲まないで、我慢する必要はありません。
もし、痛みがなかなか引かないようであれば、1度歯科医院を受診して、再度、抗生物質や痛み止めを処方してもらいましょう。
親知らずを抜いたら顎関節が痛い
親知らずを抜いた後に、顎関節が痛いことや顎が開きにくいなどといった症状が出ることがあります。
親知らずは、1番奥歯なので、お口を大きく開いてもらう時間が長く続きます。普段そんなに長時間大きなお口を開けることがないため、顎関節に負荷がかかり痛みが出てしまうことがあります。
また、親知らずをテコの原理で引き抜く際に、押される顎と引き抜かれる親知らずにより顎関節に負担がかかり、炎症を起こし痛みや開きにくいといった症状が1週間くらい続くことがあります。
痛みがひどくなったり、続くような場合は、スプリントと呼ばれる顎関節治療用の装置を作製して、顎を休ませるようにします。多くの患者さまは、スプリントでの調整を繰り返すことで痛みが引いていきます。
親知らず(智歯)と顎関節症
親知らずを抜くと内出血する?
親知らずを抜くと一時的に内出血がみられることがあります。
多くの患者さまが非常に驚かれますが、親知らずの抜歯では、皮下で内出血が起こることがあります。そして内出血は重力の関係で、だんだん首のほうまで下がってくることもあります。これは、日に日に消えていきますので、安心してください。
親知らずを抜いてドライソケット?
親知らずの抜歯後に最も痛いのが、ドライソケットです。
親知らずを抜いた後の穴は、本来血液が固まり、蓋の役割を果たします。しかし、勢いよくゆすいだり、うがいしたりすることで血液の塊が流れてしまい、骨がむき出しになるとドライソケットとなり、激痛が走ります。
ドライソケットは、本当に激痛です。なかなか痛みがとれない状態が続くため、患者さまは結構辛いと思います。
多くの患者さまは、出血があるとゆすがないといけないと勘違いします。
しかし親知らずを抜いた後は、「ある程度の出血が翌日まで続く」のが普通です。出血があるなと思ったらゆすぐのではなく、清潔なティッシュを丸めてぐっと親知らずを抜いた部位で噛みしめるのがポイントです。
グチュグチュとゆすいだり、うがいすることは絶対にやめましょう。
親知らず(智歯)抜歯後のトラブル
抜かない方が良い親知らず?
親知らずには、抜いた方が良い親知らずと抜かない方が良い親知らずがあります。
抜かない方が良いのは、キレイに磨けていて、虫歯や歯周病になっていない親知らずです。もし後々他の歯が虫歯や歯根ハセツを起こした際に、移植できる可能性があるからです。
とはいえ、斜めや真横、真っ直ぐでも中途半端に生えている親知らずは、抜いた方が良いです。また、虫歯や歯周病になっていなくても歯ブラシが届かずに汚れが溜まっている親知らずは、抜いた方が良いです。
なぜなら、多くの場合のちに虫歯や歯周病になって腫れたり痛んだりするからです。
その判断は、歯科医師と相談して決めましょう。
私の経験から判断すると多くの場合、親知らずは若い時に抜かれた方が良いと考えます。なぜなら、抜いた後の傷の治りが圧倒的に早いからです。
これが30代40代になるとやはり、傷の治りは遅くなります。若いって素晴らしいなと感じることが多々あります。
親知らず(智歯)を抜く?抜かない?
抜いた方が良い親知らず?
以下のような親知らずは、早めに抜いた方が良いです。
- 虫歯の親知らず
- 歯周病の親知らず
- 真っ直ぐ生えているが歯ぐきが中途半端に被っている親知らず
- 斜めに生えている親知らず
- 真横に生えている親知らず
- 歯磨きが行き届いていない親知らず
- 噛み合わせの邪魔をしている親知らず
歯列矯正する時は、親知らずを全部抜く?
患者さまの歯列の状況と矯正治療を行う歯科医師の判断によりますが、歯列矯正を行うときは、親知らずを抜歯した方が奥に歯を動かすスペースができるため、自由度が広がり、その結果仕上がりがキレイになると思います。
渋谷歯科の矯正治療
矯正で歯の抜歯
親知らずを抜く時期は?
親知らずは、おおよそ18歳から20歳にかけて生えてきます。
そのため、この間に必ず一度は、親知らずを抜いたら良いか、抜かない方が良いのかにつて、歯科医院で相談をされると良いと思います。
放置していて腫れたり痛んだりしてから親知らずを抜く場合、麻酔が効かない可能性もあり非常に大変な思いをされることになると思います。
抜歯した方が良い親知らずは、若い内に抜いた方が本当に後々楽です。痛みを感じる前に歯科医院で親知らずの状態を確認しましょう。
親知らず(智歯)と年齢の関係
親知らずを抜く前にしておくべきこと
親知らずを抜くとなると多くの患者さまが緊張されると思いますので、抜歯前にしておいた方が良いことを紹介します。
1.お口の中をとにかくキレイに保つ
お口の中の細菌の数を少なくすれば少なくするほど、抜歯後の腫れは少なくなります。
親知らずの周り以外の歯もキレイに磨きましょう。
2.栄養のある食事を摂る
親知らずを抜くと腫れたり痛んだりして、食事を摂ることが困難になることがあります。
そのため、親知らずを抜く前にはしっかりと栄養のある物をバランスよく食べておきましょう。
野菜のほかに多くの栄養素を含むマグロもオススメです。
3.規則正しい生活を送る
身体のリズムを整えることは、親知らずを抜いた後の腫れ方にも影響します。
親知らずを抜く前に寝不足などにならないように規則正しい生活を心がけましょう。
親知らずを抜く費用とその他費用
親知らずの抜歯には、どのくらいの費用がかかるのでしょうか。状態別に紹介します。
- 抜歯(初診料・検査料+レントゲン撮影+処置代+薬代)
・真っ直ぐの親知らず:約5,000円
・斜めの親知らず:約6,000円
・真横の親知らず:約8,000円
- 消毒(再診料+消毒料+薬代=約400円)
- 抜糸(再診料+抜糸=約150円)
- その他
真っ直ぐ生えていても、下あごの神経に近い場合や上顎洞に近い場合は、CT撮影(約3,500円)が別途必要
親知らずを抜いて麻痺
下顎の親知らずを抜く際は、下顎に通っている神経に触れると神経麻痺が起こるため、細心の注意を払い抜歯します。
神経麻痺は、右の親知らずを抜いた場合は、唇の真ん中よりも右が麻痺します。 右の親知らずを抜いて左の唇が痺れることはありません。
神経麻痺は、多くの場合に神経を切断しない限り、痺れは軽減していきますが、神経の治癒には時間がかかるため、半年から1年くらいかけて治る場合が多いです。体の中で1番治りが遅いのが、神経です。
もし、神経麻痺を感じた場合は、歯科医院を受診しましょう。
親知らず(智歯)抜歯後の麻痺やしびれ
親知らずを抜いた穴
「親知らずを抜いた穴に物が詰まるんですが、いつになったら穴はふさがりますか?」と患者さまから質問を受けることが多くあります。
親知らずを抜いた後の穴は、骨折が治るまでの工程と同じですが、骨折よりも少し治りにくく、ギブスがとれるのと同じくらいの時間(3~4ヵ月)はかかります。折れた部分の骨が治るよりも抜歯後の穴が埋まるまでにかかる時間の方が長くかかります。
親知らず(智歯)抜歯後の穴
親知らずを抜いた後
親知らずを抜歯して数日間は、痛みや腫れが出るため、食事を摂ることが困難なことがあります。
オススメの食事内容を以下に挙げます。
オススメの食事
- 味噌汁・トン汁
- スープ
(カボチャ・コーン・ミネストローネ)
- うどん
- 煮込みハンバーグ
- 牛丼汁だく
オススメしない食事
- 飲むゼリー
お口の中が陰圧になり、かさぶたの血の塊が流れてしまう原因になる可能性あり
- から揚げ・トンカツ
硬い衣が傷口に当たると出血の原因となる
親知らずを抜いた後の普通食はいつから?
親知らずを抜いてから痛みや腫れがなくなったら普通の食事に戻して良いでしょう。
人により異なりますので、様子をみながら、食べるようにしましょう。
親知らず抜歯後の食事について
親知らずを抜いた後の運動はいつから?
運動すると血行が良くなり、再出血と腫れがひどくなる可能性があります。そのため、まずは出血が止まり、腫れが引くまでは運動を控えましょう。
最低でも1週間は安静にするようにして、問題ないと確信してから運動するようにしましょう。
親知らずを抜いた後は、いつからお酒を飲んでも良い?
皆さんのお気持ちは、良くわかります。
仕事が終わって、さー、一杯飲むぞ!と行きたいところがですが、親知らずを抜いたばかりではそうはいきません。
親知らずの抜歯による出血・痛み・腫れが治るまでは、飲酒は控えるようにしてください。
血流が良くなり、再出血・痛んだり・腫れたりすることがあります。人により異なりますが、1週間くらいは飲酒を控え、安静に過ごしましょう。
親知らずを抜いたらお風呂に入って良いの?
寒い日は、特に湯船に浸かりたいですよね。お気持ちは十分良くわかりますが、体温が上昇して血流が良くなりますので、再出血・腫れ・痛みの原因につながってしまいます。
そのため、出血・痛み・腫れがきちんと治まるまで、1週間くらいは、シャワー程度に留めましょう。