一般的に親知らずは、おおよそ17歳から22歳の間に生えてきます。25歳を超えてから生える方もいらっしゃいますが、基本的には10代後半から20代前半に親知らずは、生えてきます。
18歳を過ぎて、親が知らない間に生えてくるので、親知らずと名前がついたといわれています。(諸説あります)
親知らずの生える
年齢と抜歯時期
親知らずは、いつ生えてくるかご存じですか?多くの患者さまが、勘違いしています。最近、親知らずが生えてきたのは、なぜだろうと仰る患者さまが結構いらっしゃいます。
また、親知らずを抜く時期は、年齢が若い内の方が、色々な点で有利になります。
親知らずの生える時期
親知らずと人の退化
昔は、親知らず(前から数えて8番目)まで真っ直ぐ生えていて、上下の親知らずでしっかりと噛んでいました。
しかし現代人は、どんどん顎が退化しています。顎は小さくなり、親知らずが生えるスペースがなくなり、斜めや横向きで歯の生える成長がストップするようになりました。
すると手前の7番目の歯が押されたり、中途半端に生えるため、歯ぐきに炎症を起こしたりするようになり、親知らずが生える時に、様々な症状を引き起こすようになってしまいました。
人類の顎の退化により、親知らずが悪さをするようになったと言っても多くの患者さまは信じてくれませんが、実際に顎の退化により親知らずが生えるスペースが無くなっています。
今後の予想としては、顎がもっと小さく退化することにより、8番目の親知らずは生えなくなり、7番目の永久歯が斜めや横に生えてくる日が近いかもしれません。
写真で見ると良く分かるかもしれませんが、向かって右は、昔の顎でしっかりと顎の筋肉も発達していることが分かるかと思います。
それに対して左は、顎がシャープになり筋肉もスリムになっています。昔と現在の比較になりますが、顎は確実に食べる物によって退化します。
昔は、硬い食べ物がほとんどでした。それに比べ現代は、柔らかい食べ物が主流になっています。
顎が退化して細くなれば見た目が良いと考えるかもしれませんが、それにより歯並びは悪くなり、親知らずも斜めや横に生えてきますので、虫歯や歯周病になりやすい環境になってしまいます。
歯の健康を考えると親知らずの早めの抜歯と歯列矯正で歯並びを整えることは、現代人にとって必須となりつつあるのかもしれません。
10代で抜く親知らず
親知らずを抜く時期は、10代後半が1番ベストな時期と思っています。
レントゲンの写真では、まだ親知らずが根の先まで完成していないのが分かると思います。この状態であれば神経からも遠いため、神経麻痺が起こるリスクも少なく、非常に抜きやすい状態です。
また10代で親知らずを抜く1番の理由に傷の治りが早いということがあります。
本当に治りが早く、親知らずを抜いて開いた穴が見る見るうちに塞がっていきます。
20代で抜く親知らず
10代と同じように20代で抜く親知らずは、非常に傷の治りが良いです。しかも体力がありますので、親知らずを抜く時も楽です。
若い時に親知らずを抜くことは、人生において優位性が高いことだと思います。
若い時に抜く親知らずほど、患者さまにとってメリットがあることはないのではないかと思います。
やはり10代、20代の回復力は、残念ですが30代以降の方にはありません。
腫れても直ぐに治りますし、本当に回復力と体力が全然違います。
女性の患者さまは、妊娠・出産を考えても早めに親知らずを抜歯しておいた方が良いです。
妊娠中は、服用薬が限られ、ホルモンのバランスが崩れるため、歯ぐきが余計に腫れやすくなります。
またつわりで歯ブラシを奥まで入れることもツライです。多くの妊婦さんが、早めに親知らずを抜いておけば良かった!と仰います。妊娠する前に親知らずは、抜いておきましょう。
30代で抜く親知らず
レントゲン写真のように斜めに生えて汚れが溜まりやすい状態であれば、確実に早めに親知らずを抜いた方が良いです。
30代で抜く親知らずは、回復力や治癒力などを考えてもラストチャンスかと思います。
40代で抜く親知らず
上下左右の親知らずが、これから生えてくることは、ないと思います。
もし、この時点で一度も親知らずが痛んだことがなければ、もしかしたら親知らずを抜く必要がないかもしれません。
しかし、汚れが溜まることで虫歯や歯周病を併発している親知らずは、抜く必要があります。
レントゲン写真を見てみましょう。左上の親知らずは、もう生えてくることはないでしょう。
下顎の親知らずは、7番目との間に隙間があるので汚れが入り、口臭や歯周病の原因になっていると思われます。早めの抜歯が良いです。親知らずの口臭の多くは、自分では気がつきません。知らず知らずの内に汚れが溜まって口臭になっていることが多くあります。
右上の親知らずは、黒く透けて見えます。これは虫歯が進行しているためで、早めの抜歯が必要になります。
50代で抜く親知らず
年齢が上がるにつれて段々と難易度が上がります。
まず全身疾患との関係性と治癒力・回復力の低下がありますが、時間がかかっても傷はきちんと治ります。
レントゲンを見てみると上顎に親知らずが残っています。
年齢が上がると親知らずだけではなく、親知らずを用いて他の歯がダメになった時に移植ができないか、という視点でも確認します。
左下の6番目の歯が段々と寿命が近づいていますので、その歯がダメになった際に、親知らずを移植することを考えます。
渋谷歯科は、総合歯科という強みを活かし、単に親知らずを抜く口腔外科だけの処置ではなく、歯の移植や虫歯、歯周病治療、歯の根の治療、被せ物、インプラント、入れ歯を視野に入れ、総合的に診断し、歯科治療を提供します。
口腔外科60歳で抜く親知らず
60歳になるまで生えてこない親知らずは、もう全く機能していない親知らずなので、生えることは一生ありません。
60歳になっても歯の移植をすることができますか?と相談を受けることがありますが、歯の移植は年齢に左右されるものではなく、抜く歯や抜く箇所のコンディションで変わります。
親知らずを移植する際は、CTを撮影して綿密な治療計画を立てる必要があります。
口腔外科のテクニックだけでなく、総合的な歯科テクニックが必要になります。
レントゲンを見てみると右上の親知らずは、虫歯・歯周病にならずにしっかりと生えているので、他の歯に何かがあった際には、移植する歯として期待して良いかと思います。
親知らずを抜く時期
親知らずを抜く時期は、いつが良いかというと、10代後半から20代前半が1番ベストな時期になります。
治癒力・回復力・体力共に一番よい時期です。この時期を逃すと段々とリスクを伴うことが増えるため、早めに抜いておいた方が良いです。
親知らずを抜く際は、痛んでからでは遅く、痛みがない時に抜くことも1つの大きなポイントです。
また、痛みや腫れがあるときは、麻酔が効きにくくなるので、痛みも何もない時が親知らずを抜く1番ベストな時期になります。