歯ぎしりには、大きく分けて2つのタイプがあり、同じ歯ぎしりでも、種類によって対処法は全く変わります。
「睡眠時(寝ているとき)」と「覚醒時(起きているとき)」の2種類の歯ぎしりは、起こる原因も見つけ方(診断)も、改善方法も異なるため、分けて考える必要があります。
目次
歯ぎしりには、大きく分けて2つのタイプがあり、同じ歯ぎしりでも、種類によって対処法は全く変わります。
「睡眠時(寝ているとき)」と「覚醒時(起きているとき)」の2種類の歯ぎしりは、起こる原因も見つけ方(診断)も、改善方法も異なるため、分けて考える必要があります。

寝ているときに起こる歯ぎしりです。
これは、睡眠が一時的に浅くなる「微小覚醒」のタイミングに発生する生理現象であると考えられています。
これらの特徴によって、短時間でも強いダメージを歯に与えます。
日中に起こる歯ぎしりです。
主に食いしばり(クレンチング)とTCH(歯牙接触癖)の2つがあります。
仕事中や運動時、緊張やストレスがあるときに強い力がかかるのが特徴です。
無意識に歯を触れさせている状態で、スマートフォン・パソコン作業中に多いです。弱い力でも、長時間続きます。
本来、歯はほとんどの時間、接触していません。
研究では1日の歯の接触時間は食事を含めても10〜20分程度です。
つまり口を閉じていても歯は触れていない状態が正常です。
TCHのように2時間・3時間と歯が触れている状態が続くと、以下のようなさまざまなトラブルの原因になります。
| 睡眠時歯ぎしり | 短時間・強い力(ダメージ大) |
|---|---|
| 覚醒時歯ぎしり(TCH含む) | 弱い力・長時間(じわじわダメージ) |
歯は“強い力”にも
“長い時間”にも弱い。
歯ぎしりには睡眠時(寝ているとき)と覚醒時(起きているとき)の2種類がありますが、実はこの2つは原因・診断・対処法が全て異なります。
主に睡眠が浅くなる「微小覚醒」のときに発生する、体の反応として起こる現象です。
つまり、「睡眠の質と関係している歯ぎしり」です。
日中の食いしばりやTCH(歯の接触癖)などが含まれます。
現時点では、特定の生理的変化との明確な関係はないとされています。
つまり、ストレス・姿勢・習慣などが影響していると言えます。
睡眠時と覚醒時では、
同じ歯ぎしりでも、
種類によって対処法は全く変わる
睡眠時の歯ぎしりを理解するためには、まず「睡眠の仕組み」を知ることが大切です。
睡眠は2種類に分かれます。

ノンレム睡眠は、さらに3段階に分かれます。
N1:うとうと状態
N2:軽い眠り
N3:深い眠り(最も重要)
睡眠の質やバランスは年齢とともに変わります。
歯ぎしりは、「眠りが浅くなるタイミング(微小覚醒)」で起こりやすいです。
つまり、睡眠が浅くなるほど歯ぎしりが起こりやすくなる傾向があります。
質の良い深い睡眠が、
歯ぎしり予防にも重要です
寝ている間、実は人は、何度も「一瞬だけ目が覚める状態」を繰り返しています。
これを、マイクロアロウザル(微小覚醒)と呼びます。
マイクロアロウザルが起こると、「脳の活動が一時的に活発になる」「心拍数が急に上がる」「筋肉が動く(寝返りなど)」といった反応が生じます。
つまり、体が一瞬だけ“起きた状態”になります。
健康な人でも、1時間に10〜20回ほど起こるのが普通です。実は誰にでも起こっています。
マイクロアロウザルが問題になるのは「多すぎる場合」です。
マイクロアロウザルが増えすぎると、睡眠の質が低下して、以下のような状態に陥ります。
歯ぎしりは、この「一瞬の目覚め」のタイミングで起こりやすいです。
つまり、マイクロアロウザルが多いほど歯ぎしりも増えやすくなります。
歯ぎしりは、眠りが浅くなる瞬間に
起こる現象
ぐっすり眠れていないと、
歯ぎしりは増えやすくなります
睡眠中の歯ぎしりは、実は眠りが浅くなったタイミングで起こることが多いです。
歯ぎしりは主に浅い眠り(ノンレム睡眠 N1・N2)で発生します。
深く眠っているときは、ほとんど起こりません。
朝方(起床前)に増える傾向があります。
この時間帯は眠りが浅くなりやすく、さらにマイクロアロウザル(微小覚醒)が増える時間帯です。
睡眠時歯ぎしりの約70〜80%は「マイクロアロウザルの直後」に起こります。
流れでいうと以下のようなセットで起こることが多いです。
歯ぎしりは、ぐっすり眠れていない
サインの一つです
歯ぎしりは
“眠りが浅くなった瞬間”
に起こります
実は、歯ぎしりの原因はこれ1つ!という明確な原因はまだ分かっていません。
現在の考え方ではいくつもの原因が重なって起こる(多因子性)とされています。
ここでは、睡眠時の歯ぎしりの主なリスク要因をご紹介します。
眠りが乱れると歯ぎしりが増えやすくなります。
神経が刺激されると起こりやすいです。
ストレスが強いと歯ぎしりが出やすいです。
遺伝的に歯ぎしりが起こりやすい人もいます。
つまり、人によって睡眠時の歯ぎしりの原因は異なるのです。
歯ぎしりは1つの原因ではなく、
いくつかの要因が重なって起こる
歯ぎしりは“体と生活のサイン”です
以前は「噛み合わせが悪いから歯ぎしりが起こる」と考えられていました。
そのため噛み合わせを治せば歯ぎしりも治るという治療も行われていました。
しかし現在の考え方は違います。
多くの研究から、噛み合わせと歯ぎしりに明確な関係はないことが分かってきました。
以上の理由から、噛み合わせを治しても歯ぎしり自体は止まらないと言えます。
“歯ぎしりを止める”のではなく、“ダメージを減らす”ことが重要です。
歯ぎしりは噛み合わせではなく、
脳と睡眠の問題
歯ぎしりは“歯の問題”ではなく
“体の反応”です。
睡眠時の歯ぎしりの原因はいろいろありますが、一番大切なのは「睡眠の質」です。

睡眠時の歯ぎしり起こる流れをとてもシンプルにすると、以下のようになります。
つまり、眠りが浅いほど、歯ぎしりは起こりやすくなります。
これらが重なると歯ぎしりが増えやすくなります。
歯ぎしりは“歯の問題”ではなく
“睡眠の問題”です
ぐっすり眠れると、
歯ぎしりは減ります。
起きている時にも、歯ぎしりは起こります。
例えば、仕事中やスマホを見ている時、集中している時に、無意識にグッと歯を噛みしめている状態。これが「食いしばり」です。

弱い力でずっと歯を触れさせているクセを、「TCH(歯の接触癖)」といいます。
実は、起きている時の歯ぎしりで多いのは、このTCHです。
本来、リラックスしている時は上下の歯は触れていません。(少し隙間があります)
しかしTCHがあると、ずっと歯が触れている状態になります。
強い力ではなくても長時間続くことで、歯や顎に負担がかかってしまうのが、TCHの問題です。
気づかないうちに、以上のような症状が出てきます。
主な原因は、ストレスや緊張による無意識の反応です。
まずは「歯が触れていないか?」を意識してみてください。
それだけでも、負担を減らす第一歩になります。
「強い力」よりも「長く続くこと」が
問題になる場合も多い
歯には“反射”があり、無意識に噛む力が入ることがあります。
これが歯を噛み締め続けてしまう原因となっています。
食事中に、砂や小さな骨をガリッと噛んだ経験はありませんか?
その瞬間、「危ない!」と感じる前に、パッと口が開きますよね。

これは何かというと、体が自動で守る反応(反射)です。
歯や周りの組織を守るために、瞬時に噛むのをやめる仕組みが働いています。
しかし、噛むのをやめるのとは逆の反応もあります。
実は歯には、弱い力が続くと、逆に噛む力が強くなる反射があります。
これを緊張性歯根膜咬筋反射といいます。
例えば、歯と歯がずっと軽く触れている状態(TCHなど)が続くと、「噛み続けなさい」という信号が筋肉に出てしまいます。
その結果、
そして、さらに噛む力が強くなります。
つまり「軽く触れているだけ」が、だんだん強い食いしばりに変わることがあるのです。
無意識に“噛み続けるループ”に入ってしまうこと。これが問題です。
歯は本来、リラックスしている時は
触れていないのが正常です。
こんな経験はありませんか?
このようなときに、気づいたら歯をグッと噛みしめていませんか。

無意識に食いしばってしまうのは、体の「緊張モード」が関係しています。
体には、2つの神経があります。
食いしばりは、以下の流れで起こります。
このとき、噛む筋肉にも無意識に力が入ります。
一度噛みしめが起きると、以下の状態に陥ります。
これにより、前に説明した“噛み続ける反射”が働きます。
その結果、無意識に食いしばりが続き、歯や顎にダメージが蓄積します。
食いしばりはクセではなく
「体の反応(防御反応)」の一種です。
対策の第一歩は
「今、噛んでいないか?」と
気づくこと
日中の食いしばり(クレンチングやTCH)は、いろいろな要因が重なって起こります。
主な原因は、以下の6つです。

頭が前に出ると、噛む筋肉に力が入りやすくなります。
気づかないうちに歯を接触させる時間が増えます。
無意識にグッと噛みしめてしまいます。
違和感を補おうとして噛むクセが強くなります。
「どこか当たる感じがする」という違和感が、食いしばりのきっかけになります。
力を入れるときに歯を噛みしめやすいです。
一度噛みしめが起きると、「筋肉が緊張する」「歯が接触し続ける」など、さらに噛む力が入りやすくなります。(悪循環)
日中の食いしばりは
1つの原因ではなく、
いくつも重なって起こるものです。
睡眠中の歯ぎしりは、原因によって大きく3つのタイプに分けられます。
体に特別な病気がないのに起こる歯ぎしりは、健康な方にもよく見られます。ストレスや睡眠の質が影響です。最も多いタイプです。

他の病気が関係して起こる歯ぎしりです。
例:睡眠時無呼吸症候群、睡眠障害
これらは、体の問題が原因になっているケースです。
必要に応じて内科などと連携(対診)し、原因となる病気の治療が大切です。
飲んでいる薬の影響で起こる歯ぎしりです。
例:一部の抗うつ薬、精神系のお薬
薬の副作用として歯ぎしりが出ることがあります。
重要なのは、原因によって対処法が全く違うということです。
歯ぎしりは「3つのタイプ」に分かれ、それぞれ対応が異なります。
日中の歯ぎしりには、主に2つのタイプがあります。
いわゆる「グッと噛む」タイプです。
短時間でも強いダメージが出やすいのが特徴です。

「歯が軽く当たっているだけ」の状態です。
これが、一番見落とされやすいポイントです。
患者さんに「食いしばってください」と言うと強い力では「続けるのは無理です(疲れる)」となります。
でも、少し力を抜くと「これなら続けられる」となり、さらに聞くと「これは食いしばりじゃなくて、歯が当たっているだけ」となります。
しかし本当に問題なのは、たとえ弱い力でも、歯が当たっていれば“負担”になるということです。
例えば、以下のような研究結果があります。
つまり、弱い力×長時間=大きなダメージが発生することになるため、TCHは危険なのです。
TCHとは、
「弱い力で歯を当て続けるクセ」
クレンチング=強い力・短時間
TCH=弱い力・長時間(要注意)
本来、リラックスしているときのお口の状態は、上下の歯は触れていません。
正常な状態(下あごの安静位置)では、上下の歯の間にすき間が空いています。
これを「安静空隙(あんせいくうげき)」といいます。

しかし一部の人では、約10%の方が「歯が離れていると違和感がある」と感じます。
その結果、本来はリラックスしているはずなのに、ずっと歯が当たっている状態になります。
これがTCH(歯牙接触癖)です。
しかも、「無意識」に「長時間」弱い力で歯を当て続けるクセは、気づかないうちに続いてしまいます。
リラックスしているのに歯が当たっているのは“正常ではありません”。
本来、安静時は歯は触れていません。
触れているなら
TCHの可能性があります。
気づいたときに“歯を離す”だけで、
負担は減らせます。
通常は安静空隙が存在しているものの、ある状況、あるいは環境下において、上下の歯を当てて咬み続けてしまうことがあります。
このような状況は、2次性覚醒時歯ぎしり(TCH)であるといえます。

普段は歯が離れているのに、ある状況になると歯が当たり続けてしまう状態を2次性のTCH(歯牙接触癖)といいます。
一番多い原因は、「姿勢や環境」です。
特に、以下のような時に起こります。

姿勢が悪くなると以下のような状態になります。
さらに、歯が当たると以下のような状態になります。
つまり、一度歯が当たってしまうと、TCHが止まりにくい状況に陥ります。(悪循環)
スマートフォン・PC生活により、頭が前に出る姿勢が増え、長時間同じ姿勢を取るため、歯が当たりやすい環境になっているからであると言えるでしょう。
姿勢が悪いと、
無意識に歯ぎしりが起こります
スマホ姿勢が
“食いしばり”を作ります
ストレスや集中が原因で起こる歯の接触クセです。
例えば、以下のような場面では、無意識のうちに歯が接触している可能性があります。

なぜ起こるのか?流れはシンプルです。
最近は特に以下のようなお仕事が多いです。
集中時間が長い=歯の接触が増えます。
また、調査では約半数以上の人が強いストレスを感じていると言われています。
そして、不安が強い人ほど、集中時に歯の筋肉が働きやすいです。
歯の接触が長時間続くと、体に以下のような不調が生じます。
そして、歯やあごにも負担が蓄積します。
安静時は問題なくても、
集中すると歯ぎしりが出ます。
集中+ストレス
=歯の接触が増える。
頑張っている時ほど、
歯は当たっています。
入れ歯が安定しないことで、無意識に噛んでしまうタイプです。
特に注意が必要なのは、奥歯がなく、しっかり噛める場所(咬合支持)がない場合です。
入れ歯が不安定だと、以下のような作用が働きます。

研究から、以下のことがわかっています。
寝ている時(睡眠時):差はあまりない
起きている時(覚醒時):奥歯の支えがない人だけ、筋肉の活動が増える
つまり、問題は“起きている時”に起こりやすいと言えます。
入れ歯が不安定だと、
噛みしめるクセがつきます。
入れ歯が動くと、
無意識に噛んでしまいます。
「噛み合わせが気になる」ことが原因で起こるタイプです。
歯の当たり方に“違和感”を感じる状態です。
大きく分けて2つあります。

痛みがあると「噛み合わせの感じ方」が変わります。
この行動が続くとクセになり(習慣化)、TCH(歯の接触癖)に発展するのが問題です。
気になる→何度も噛む→クセになる
噛み合わせが気になるほど、
歯は当たり続けてしまいます。
運動中に一時的に起こる「食いしばり」です。

体に力を入れると、関節を安定させたり、力を効率よく伝えるために、一時的に噛みしめが起こります。
よくある例として、以下のような状況が挙げられます。
実はこれは、無駄な食いしばりを防ぐための行動でもあります。
重要なポイントは、スポーツでの歯ぎしりは、強い力だが短時間だけということです。
スポーツの食いしばりは
基本的に問題になりにくいです。
運動中の食いしばりは一瞬、
問題は“日常のクセ”です。