多くの患者さんでは、ナイトガード装着後に睡眠時歯ぎしりの頻度が減少します。
研究では、
- 歯ぎしりの持続時間:約72%減少
- 頻度:約57.9%減少
という報告があります。
つまり、ナイトガードには一定の「歯ぎしり抑制効果」があります。
歯ぎしり・食いしばりの改善のためには、別の記事でもお伝えしたように、まずは睡眠の質を下げている原因を見直すことが大切です。
睡眠環境や生活習慣を改善することで、歯ぎしり・食いしばりが軽減するケースもあります。
しかし実際には、それだけで十分改善するケースばかりではありません。
そのため、現在もっとも一般的に行われている治療が「スプリント療法(ナイトガード)」です。
現在、保険診療で認められている睡眠時歯ぎしりの治療は、このスプリント療法になります。
今回は、ナイトガードについて詳しく解説します。
目次
多くの患者さんでは、ナイトガード装着後に睡眠時歯ぎしりの頻度が減少します。
研究では、
という報告があります。
つまり、ナイトガードには一定の「歯ぎしり抑制効果」があります。
しかし、この効果は永続的ではありません。
多くの場合、2週間ほど継続使用すると身体が慣れ始め、歯ぎしりの強さや頻度が徐々に戻ってきます。
実際の臨床でも、
ということは珍しくありません。
それでも、短期的に歯ぎしりを抑えたい場面では非常に有効です。
ナイトガードの本当の目的は、「歯ぎしりを完全に止めること」ではありません。
最大の目的は、歯や顎を“力”から守ることです。
歯ぎしり・食いしばりの力を適切に分散し、
へのダメージを減らすことが重要になります。
つまり、「フォースコントロール(力の管理)」を行う治療です。
歯ぎしりによる摩耗や破折から歯を守ります。
セラミック、ブリッジ、インプラントは強い力により欠けたり壊れたりすることがあります。
ナイトガードは、そうしたトラブルのリスク軽減にも重要です。
食いしばりでは、特に一番奥の歯へ強い力が集中します。
そのため、ナイトガードでは奥歯だけに力が集中しないよう、噛み合わせを細かく調整します。
強い食いしばりは顎関節にも負担をかけます。
ナイトガードによって関節への負荷軽減も期待できます。
ナイトガードは上あご?下あご?
患者さんから、「上あごだと気持ち悪いので、下あごで作れませんか?」と相談を受けることがあります。
結論から言うと、基本的には上あごで製作した方が有利です。
理由は、
ためです。
ただし、嘔吐反射が強い方では、奥側を短く調整して対応することもあります。
ハードタイプ?ソフトタイプ?
ナイトガードは、基本的には「ハードタイプ」が推奨されます。
理由は、
だからです。
一方、ソフトタイプは柔らかく使いやすい反面、
という欠点があります。
ナイトガードは、「作って終わり」の治療ではありません。
定期的なチェックと調整が非常に重要です。
特に、
を継続的に確認する必要があります。
睡眠時歯ぎしり用のナイトガードは、基本的に夜間のみ使用します。
長時間使用し続けると、噛み合わせの変化や顎の位置の変化などを起こす可能性があります。
いびきが強い方や睡眠時無呼吸症候群の方では、ナイトガードによって症状が悪化することがあります。
そのため、必要に応じて医科との連携も重要になります。
歯ぎしり・食いしばりは、「癖だから仕方ない」と軽く考えられがちですが、実際には歯や顎、インプラント、被せ物に大きなダメージを与えることがあります。
特に睡眠中の食いしばりは、自分では気づかないまま非常に強い力が加わることがあり、
など、さまざまな問題の原因になります。
また、近年では「歯ブラシだけでは歯を守れない」ことも分かってきています。
虫歯や歯周病を防ぐ“プラークコントロール”だけでなく、歯に加わる力を管理する“フォースコントロール”が非常に重要な時代になっています。
睡眠時歯ぎしり・食いしばりの背景には、
など、さまざまな要因が関係しています。
そのため治療では、
を組み合わせていくことが重要です。
ナイトガードは歯ぎしりを完全に止める装置ではありません。
しかし、歯や顎に集中する力を分散し、大切な歯を長く守るための非常に重要な治療になります。
このような症状がある方は、歯ぎしり・食いしばりが関係している可能性があります。
気になる症状がある場合は、早めの相談をおすすめします。