歯の擦り減り
歯は体の中で骨よりも硬い組織です。
しかしその組織も年齢を重ねるとだんだんと擦り減ってきます。 強い力がかかるとその速度は速くなり、年齢に関係なく歯がどんどん短くなってかみ合わせが低くなっていきます。
写真を見ると歯にクレーター状に穴が開いているように見えると思います。中は黄色く、象牙質という内部の組織が透けて見えてきている状態です。
歯ぎしりというと、寝ている間に歯をギリギリとすり合わせるシーンを真っ先に思い浮かべる通り、この症状には自覚がない人が多いのが特徴です。人は無意識のうちに、寝ている際歯ぎしりをしていたり、日中仕事に集中している時に歯を食いしばっていたりします。
子供が指しゃぶりしてしまうのと同じで、無意識のうちに行ってしまうものなのです。
寝る人が側にいる場合でも気付かれない事があるので、自覚する事がないまま放置されてしまいやすくなります。一緒に寝ている人が何も言わないから歯ぎしりはしていない、と言う事にはなりませんので、例え音がしていなくとも安心はできません。
歯ぎしりをしている方の特徴としては、朝起きた時にあごや肩が疲れていたり、歯が削れている事があります。そうした部分からまずは、自分が歯ぎしりをしているかどうかを見極めて行く必要がありま す。
自分で歯ぎしりをしているのを確認する方法はあるのでしょうか。
残念ながら無意識で行っていることが多く、気づけないことがほとんどなのですが、自覚症状がない方でも、これから示す口の中の変化が見られれば、もしかしたら歯ぎしりを行っているサインかもしれません。
歯は体の中で骨よりも硬い組織です。
しかしその組織も年齢を重ねるとだんだんと擦り減ってきます。 強い力がかかるとその速度は速くなり、年齢に関係なく歯がどんどん短くなってかみ合わせが低くなっていきます。
写真を見ると歯にクレーター状に穴が開いているように見えると思います。中は黄色く、象牙質という内部の組織が透けて見えてきている状態です。
歯茎がゴツゴツと膨らんでいる方を見かけます。
これは骨隆起と言って骨が膨らんだものになります。歯を支える骨に刺激が多く伝わることで、その防御反応として骨が過剰に発達したものと言われています。
下の前歯の裏側や上あごの真ん中によく見かけられます。将来的に入れ歯になってしまった場合、この骨隆起が邪魔となって痛みの原因となることがあり、必要に応じて除去することもあります。
舌が凹凸に波打つようにヒダをうっている方がいます。
これはよく見ると歯の形にフィットします。つまり舌に歯型がついているということです。
歯ぎしりなどで舌が歯に押しつけられて跡がついてしまうようです。
ブラキシズムはただの癖のように見えますが、歯や顎の筋肉、顎関節などに大きな負担となり、さまざまな悪影響が及びます。大きな影響が出ないうちに早期に改善することが大切です。
また、すでに上記の症状が出ている場合にも、適切な治療を行う必要があります。
歯ぎしりは、医療用語で「ブラキシズム」または「睡眠時ブラキシズム」と言われています。また、その仕方によって呼び名が付けられており、それぞれ特徴があります。
良く一般的に歯ぎしりと言われるもので、上下の歯をこするタイプで、ギリギリと音が出ます。
音を鳴らさずに歯を強くかみしめるタイプで、周りに気付かれる事が少ないです。このタイプの場合は特にグッとかみしめている事がありますので、筋肉の疲労が顕著にあらわれます。
上下の歯をを小刻みに上下にかみ合わせるタイプです。カチカチと音が鳴ります。
歯ぎしりをしてしまうはっきりとした原因は実はわかっていませんが、ストレスやかみ合わせなどから引き起こされていると言われています。
歯ぎしりをする原因で一番に有力なのはストレスです。
中枢性(脳・神経系)の問題とされ、ストレス の発散が歯ぎしりで行われているとも言われています。ただし、脳内がどのように歯ぎしりと関係しているかのメカニズムはまだ不明のことが多く、症状に応じて治療をしているのが現状と言えます。
歯ぎしりの詳しい原因歯並びが悪いと、歯ぎしりする事により歯並びがきれいな人より歯並びが変化しやすく歯に負担がかかりやすくもなります。
かみ合わせは、成長や虫歯治療・歯周病・老化などにより、常に変化します。顎も歯と同様に加齢により、顎の関節がすり減り平らになるなどの変化をしていきます。こういったかみ合わせの変化が歯ぎしりを誘発するのです。
歯ぎしりは通常はかからない歯へのストレスをかかけてしまいます。それによって歯にトラブルが起きやすくもなるのです。
歯が擦り減ってくると見た目も大きく変わってきてしまいます。
歯並びが悪いと、歯ぎしりする事により歯並びがきれいな人より歯並びが変化しやすく歯に負担がかかりやすくもなります。
上下の歯が常に噛んでいるのは実は問題であることをしっていましたか?これを質問すると噛んでいるのが正しいと思っていたという方が少なからずいます。
何もしていない時に私達の上下の歯は接触していません。これは唇を閉じていても同じです。日常生活でぼーっとしている時や、話をしているときなどは少しの隙間が空いているのが正常なのです。
1日24時間の中で、歯が噛んでいる瞬間というのは「食事を食べているときだけ」。噛んでいる回数を時間に表すとたった10~20分の時間しかありません。口を閉じる時間が長時間続くと、口を閉じる際使う閉口筋という筋肉が疲労して、顎にも負担がかかり痛みを感じてきてしまうのです。
上下の歯の不要な歯の接触の癖をTCH(Tooth Contacting Habit)と言います。
日中仕事に集中している間などに歯が接触していることはないでしょうか。これは顎関節症など全身に及ぶトラブルを招く原因になってしまいます。
本来は歯がかみ合う時間が短いのにも関わらず、歯ぎしりやくいしばりによって常時歯に噛む力がかかっていると歯が痛くなることがあります。歯の感覚を感じる組織である歯根膜や歯の神経にダメージが蓄積され、それが爆発して痛みとして現れてくるのです。
夜間の歯ぎしりを行っている方は、痛くて目が覚めたり、起床時に顎が痛いという症状が起きることもあります。
過剰な力が歯に加わると歯の表面の組織であるエナメル質が欠けたり、歯の内部に亀裂が入ってしまうこともあります。
そうなることで歯の内面の組織である象牙質が露出して、知覚過敏と同じ症状で歯がしみてしまうことがあります。
歯を支えている骨は常にその再生と破壊が繰り返されて新しい骨に置き換わっていきます(リモデリング)。過剰な力が骨にかかると、実は骨を破壊する働きの細胞が増えていくために、再生が追いつかず骨の破壊が先に進行してしまうのです。
この原理により、歯ぎしり食いしばりが局所に集中すると、その力を受けた歯を支える骨は溶けてしまいます。その結果、歯周病のように歯がぐらぐらと揺れたり、歯が浮いたような感じの症状が出てきます。
歯の神経のない歯で起こりやすい症状です。
歯の神経がない歯は枯れ木のようなものです。歯の中に金属の土台が入っていたりするような歯であれば、特に食いしばりなどの強い力によって歯に亀裂が入って割れてしまうことがあります。大きく割れた歯は保存することが出来ず抜歯となります。
口周りにはたくさんの筋肉が密集しています。口を開ける筋肉と閉じようとする筋肉も別です。
これらは肩周りや頭の横にある筋肉とも繋がっていて、歯ぎしりなどで過度にその筋肉が使用されると周辺の筋肉も緊張して痛みや違和感を生じさせることがあります。
過剰な力が歯にかかることで治療した銀歯などが外れることがあります。接着剤で歯に付けられたつめ物も、過度な力によって接着力が破壊されて浮き上がってくることがあります。外れるだけなら良いですが、浮き上がっていることを気づかずに、中で虫歯になってしまっていることもあるかもしれません。
歯ぎしりの問題点ブラキシズム(歯ぎしり)の治療を受けると、次のようなメリットが得られます。
ブラキシズム(歯ぎしり)は、すでに癖づいてしまっていれば簡単にやめることはできませんし、寝ている間は特に意識的にコントロールするのはむずかしいものです。治療を受けることで、自分ではやめられない悪習慣を軽減することができます。
すでに体に悪影響が出ている場合、早期に改善する必要があります。ブラキシズム(歯ぎしり)の治療を受けることで、歯や顎などの痛みが軽減したり、肩こりなどの体の不調が改善したりします。
ブラキシズム(歯ぎしり)を放っておくと、ただ歯が割れたり、顎が痛くなったりするだけでなく、歯周病や顎関節症などの新たな疾患につながってしまう可能性もあります。予防するためにも、早めに改善しておくことが重要です。
寝ている間の歯ぎしりであるグラインディングは、近くで寝ている家族に対し、音による迷惑をかけることもあります。改善することで、周囲の人が途中で目を覚ます、よく眠れないといった状況を避けることもできるでしょう。
歯ぎしりや食いしばりにはっきりとした原因はつかめていないものの、そのままではもちろん症状は変わらず、むしろ悪化してしまいます。そのため、歯を保護する治療や、かみ合わせの治療、行動暗示療法などを行い、改善を図っていきます。
歯ぎしりや食いしばりの原因は不明な事が多く、確実にやめる事は困難です。しかしそのままにしておくと、歯や顎に悪い影響を与えてしまうため、歯科医院でマウスピース(ナイ トガード)を作製することをおすすめします。
マウスピースをつけることで歯と歯の間にクッションを設け、直接歯にかかる力を逃がし、歯が傷つけられるのを防ぎます。
歯ぎしりの大きな原因は日常生活におけるストレスだと言われており、患者自身が日常で抱えるストレスを減らさなければ症状の改善が見込めない可能性があります。
そのため、マウスピースだけでは根本的な治療とは言えませんが、装着することで安心感が生まれ、精神的な面でも効果があると言われていますので、まずはこの治療を受けるのも1つの方法です。
そこから、患者様自身が日常の中で精神的な負担を減らして行く事・ストレス発散やリラックス法を身に付けていただく事が、改善の最重要ポイントとなります。
歯ぎしりで製作するマウスピースは保険診療が適用され、約5,000円程で製作できます。
歯ぎしり改善の治療方法口の中は非常に繊細です。歯1本1本にも神経が通っており、歯根膜では噛んだ力を感じる能力があります。
ちょっとしたかみ合わせのズレが痛みや歯ぎしり、食いしばりの原因など大きな変化を引き起こすことがあります。一方でちょっとのかみ合わせの調整がそれらを回復することにも繋がります。
ボトックスとはボツリヌストキシンという筋肉の活動を抑える毒素のことです。
「ボトックス注射」と聞くと美容で行うイメージが強いと思いますが、歯ぎしり治療でも使用します。
具体的には、咬筋という顎に付着する「噛む動作に使われる筋肉」に注射をし、筋肉の活動を緩め、歯ぎしりをしにくくさせ、歯や顎を守るのです。 またボトックス注射を打つと、筋肉の厚みが薄くなるため、小顔効果も期待できます。
歯ぎしりだけではなく、えらが張っているや顔が気になっている方にも効果的かもしれません。
効果は個人差もありますが、約3~6ヶ月ほど継続します。
顎関節症やかみ合わせが治るわけではありませんので、原因が異なる場合には効果が発揮されません。また、治療した筋肉の過度な脱力が起こることがありますが、くすりの量を調整することで回避が可能です。
30,000円+税
日中の不必要な歯の接触「TCH(Tooth Contacting Habit)」に有効な治療法がこれです。
意識的に口を開こうとすると、無意識に口を閉じようとする筋肉とぶつかりあってしまい、反って痛みが増してしまうことがあります。
そこで、常に口を開けようとするのではなく、1日の中で何度か意識的に口を開ける時間を設けるようにします。
具体的には、1日に何度か目を通す場所にメモ書きを張っておきます。
そのときに歯が接触していないかを確認し、もし噛んでいたらその時だけ口を開くようにしましょう。
これを反復して続けていくと解消されていくことが多くあります。
歯ぎしりの治療費は、治療内容によって保険適用内と、保険適用外(全額自費負担)に分かれます。
歯ぎしりの緩和予防のための治療法として一般的なのは、ナイトガードです。
ナイトガートの作製は保険適用なので、約5000円の治療費となります。
歯ぎしりに至る根本原因と考えられる治療へと範囲を広げると、歯ぎしりの治療費もまた、かなりの幅を持つことになります。
まず、歯ぎしりの相談料として、1時間当たり1万円前後かかります。但し、実際に歯ぎしり治療を行えば、無料になります。
基本的な検査であれば数千円、精密検査を行えば、保険外だと3~10万円かかる場合もあります。歯のかみ合わせが歯ぎしりの原因と考えられる場合は、かみ合わせの悪い歯を削ります。
またつめ物、クラウン(かぶせ物)、インプラント、ブリッジ、部分入れ歯等の治療のやり直しに発展する場合もあります。例えば、インプラントの場合は保険外なので、インプラント1本の治療費は20万~60万円になります。
保険内のクラウンならば約5000円、保険外のクラウンなら2万~5万円、オールセラミックのクラウンなら8万~15万円かかります。
歯並びの悪いことが歯ぎしりの原因と考えられる場合は、歯列矯正治療を行います。歯列矯正の殆どは保険外です。成人矯正の場合は約60~100万円、小児矯正の場合は約30~60万円、部分的な矯正の場合は約5万円以上かかります。
様々なストレスが歯ぎしりの原因と考えられる場合に、精神安定剤や誘眠剤の投与が行われる場合もあります。上記のように、歯ぎしりの治療費は、どの治療に発展するかによって変化します。おおまかに言えば、ナイトガードの約5000円から歯列矯正の約100万円という幅になります。
歯ぎしり治療の料金