2026年10月27日 2026年10月27日
Q
インプラントを使った入れ歯作れませんか?
A
もちろん、作れます。
インプラントを使った入れ歯は、インプラントで入れ歯をしっかり支える治療法です。
通常の入れ歯と大きく違うのは、インプラントと入れ歯を「アタッチメント」と呼ばれる装置でつなぐことです。磁石などを利用して、入れ歯が動いたり外れたりするのを抑えるのと似ています。
ただし、この治療はインプラントを入れれば終わりではありません。
インプラントをどこに入れるのか、どの装置(アタッチメント)を使うのか、そして入れ歯をどのように設計するのか。
インプラントと入れ歯、両方の知識と経験が必要になります。
そのため、インプラントを使った入れ歯を希望される場合は、インプラント治療だけでなく、入れ歯治療にも慣れている歯科医師に相談することが大切です。
インプラントを使うと、入れ歯はどう変わる?
最大のメリットは、入れ歯が安定しやすくなり、噛みやすくなることです。
「入れ歯が動く」
「外れやすい」
「しっかり噛めない」
このような悩みを改善できる可能性があります。
さらに、通常の固定式インプラントとは違い、自分で入れ歯を取り外して洗えるのも大きな特徴です。
インプラントの安定感と、入れ歯のお手入れのしやすさ。
この2つを組み合わせられることが、インプラントを使った入れ歯の大きな魅力です。
インプラントを使った
入れ歯とは?
インプラントを使った入れ歯とは、インプラントを利用して入れ歯をしっかり固定する治療法です。
普通の入れ歯との大きな違いは、入れ歯が動きにくく、安定して噛みやすいことです。
また、オールオン4との大きな違いは、自分で入れ歯を取り外せることです。
取り外してすぐに洗ったり磨いたりできるため、毎日のお手入れがしやすいのも大きな特徴です。
言葉よりも、動画を見ると簡単です
実は、インプラントを使った入れ歯は、言葉だけで説明すると少しイメージしにくい治療です。
仕組みはとてもシンプルです。
インプラントに入れ歯を「パチン」とはめて固定します。
動画をよく見てみてください。
この入れ歯には、ボタンのような「アタッチメント」という装置が組み込まれています。
この装置をインプラントに「パチン」とはめることで、入れ歯がしっかり固定される仕組みです。
そして、必要なときには自分で「パチン」と外すことができます。
「しっかり固定できる。でも、自分で外して洗える。」
これが、インプラントを使った入れ歯の大きな特徴です。
下の入れ歯は、舌があるのでどうしても動きやすいです。また、上顎で嘔吐反射の強い患者さんは、インプラントを使った入れ歯が非常に役に立ちます。
インプラントを使った
入れ歯の誤解
直ぐにインプラントを使った
入れ歯はできる?
結論から言うと、インプラントを使った入れ歯は、すぐに完成するわけではありません。
通常の入れ歯とは違い、まずインプラントを埋入し、インプラントと骨がしっかり結合するまで待つ必要があります。
当院では目安として、上あごで約3ヶ月、下あごで約2ヶ月の結合期間をみています。
その後、インプラントに合わせて入れ歯を製作していくため、治療開始から完成までの期間は、上あごで平均約4ヶ月、下あごで平均約3ヶ月が目安となります。
また、インプラントを入れるための骨が不足している場合には、骨を増やす治療が必要になることがあり、その分、治療期間も長くなります。
大切なのは、まず「しっかり噛める入れ歯」を作ること
ここで大切なのは、インプラントを入れれば、それだけで噛める入れ歯になるわけではないということです。
インプラントは、あくまで入れ歯を安定させるためのものです。
そのため当院では、まずしっかり噛める入れ歯を製作し、噛み合わせや形に問題がないことを確認してから、インプラント治療へ進むことが大切だと考えています。
「まず、噛める入れ歯を作る。その入れ歯をインプラントでさらに安定させる。」
これが、インプラントを使った入れ歯を成功させるための重要なポイントです。
一度作ったら、ずっとそのまま使える?
「インプラントを使った入れ歯は、一度作ったらずっと使えますか?」
残念ながら、一度作ったものを何十年もまったく手を加えずに使い続けられるわけではありません。
インプラントそのものは、適切なケアと定期的なメンテナンスを続けることで、長期間使用できる可能性があります。
しかし、インプラントの上に装着する入れ歯やアタッチメントには寿命があります。
入れ歯は毎日、何度も何度も噛む力を受けています。そのため長年使用していると、人工歯がすり減ったり、入れ歯が壊れたり、噛み合わせが変化したりします。
また、インプラントと入れ歯を「パチン」と固定するアタッチメントも消耗品です。使っているうちに固定する力が弱くなったり、部品の交換が必要になったりすることがあります。
人工的に作ったものには寿命があります
これはインプラントを使った入れ歯に限った話ではありません。
毎日使う人工物ですから、すり減ったり、壊れたりするのは当然のことです。
大切なのは、「一度作ったら一生そのまま」と考えるのではなく、定期的にチェックし、必要に応じて修理や部品交換、入れ歯の作り直しをしながら長く使っていくことです。
つまり、一度作ったら、ずっと何もしないで使える入れ歯はありません。
インプラントは、何本入れますか?
「インプラントを使った入れ歯の場合、インプラントは何本必要ですか?」
多くの場合、2〜4本程度のインプラントを使用します。
ただし、「必ず2本」「必ず4本」と決まっているわけではありません。
上あご・下あごともに、顎の骨の量・幅・硬さ、インプラントを入れられる位置、噛む力などを確認したうえで、必要な本数を決めていきます。
基本は2本のインプラント
多くの場合は、まず2本のインプラントで入れ歯を固定する方法を検討します。
2本でもインプラントに入れ歯を「パチン」と固定することで、通常の入れ歯より安定させることができます。
ただし、患者さんの顎の状態や噛む力、より高い安定性が必要な場合には、3本や4本のインプラントを使用することもあります。
- 2本なら「2点」で支える。
- 3本なら「三角形」で支える。
- 4本なら「四角形」で支える。
このようにインプラントの本数や配置を考えながら、入れ歯を安定させていきます。
本数が多ければ良いわけではありません
大切なのは、インプラントをたくさん入れることではありません。
患者さんの顎の状態をしっかり診査し、入れ歯を安定させるために「どこに、何本のインプラントが必要なのか」を考えることが重要です。
そのため、インプラントの本数は患者さん一人ひとり異なります。
インプラント使用すれば、
どんな入れ歯でも噛める?
「はい」なんでも噛めますとお伝えしたいですが、残念ながらなんでも噛めるわけではありません。インプラントを使用した入れ歯が苦手な食べ物を列挙しておきます。
- イカ刺身
- タコ刺身
- グミ
- ガム
インプラントで固定したら
絶対に動かない?
「インプラントで固定するなら、入れ歯はまったく動かないの?」
実は、まったく動かないわけではありません。
インプラントを利用して、上に装着する歯を患者さん自身では取り外せないように固定する代表的な治療が「オールオン4」です。
それに対して、インプラントを使った入れ歯は、患者さん自身で取り外しができることが大きな特徴です。
入れ歯に組み込まれたアタッチメントをインプラントに「パチン」と装着することで、普通の入れ歯に比べて動きを大幅に抑えることができます。
しかし、完全に固定してしまうわけではありません。
「動かない」ではなく「動きにくい」
ここが、患者さんに一番誤解されやすいところです。
普通の入れ歯より、ずっと安定する。
でも、オールオン4のような完全固定ではない。
ある程度の動きを許容するからこそ、自分で取り外すことができます。
そして、外して入れ歯を洗ったり、インプラントの周囲を磨いたりすることができます。
つまり、インプラントを使った入れ歯は、
「しっかり安定する。でも、自分で取り外して洗える。」
このバランスが大きな特徴なのです。
インプラント治療が上手な先生なら、
誰でも作れる?
「インプラントが上手な先生なら、インプラントを使った入れ歯も得意なの?」
実は、必ずしもそうとは限りません。
インプラントを使った入れ歯には、「インプラント」と「入れ歯」、両方の知識と経験が必要だからです。
インプラントを正確に埋入する技術だけでは、良い入れ歯を作ることはできません。
逆に、入れ歯を作る技術だけでは、インプラントの位置や本数、骨の状態などを考えたインプラント治療を行うことはできません。
インプラントと入れ歯は「別々」ではありません
インプラントを使った入れ歯では、
- どこにインプラントを入れるのか。
- 何本入れるのか。
- どのような入れ歯を作るのか。
- どのアタッチメントを使用するのか。
- どのような噛み合わせにするのか。
これらを最初から一緒に考える必要があります。
つまり、インプラントを入れてから入れ歯を考えるのではなく、最終的な入れ歯を考えてからインプラントの位置を決めることが大切なのです。
そのため、インプラントを使った入れ歯では、インプラントと入れ歯の両方を理解したうえで治療計画を立てることが、とても重要になります。
インプラントだから
入れ歯のお手入れは不要?
「インプラントを使った入れ歯なら、お手入れは楽になりますか?」
いいえ。インプラントを使った入れ歯でも、毎日のお手入れは必要です。
むしろ、インプラントの周りは今まで以上に丁寧に清掃することが大切です。
インプラントそのものは人工物なので虫歯にはなりません。しかし、インプラントの周囲に汚れがたまると、歯ぐきに炎症が起こり、進行すると「インプラント周囲炎」と呼ばれる状態になることがあります。
インプラント周囲炎が進行すると、インプラントを支えている骨が失われ、最悪の場合にはインプラントを維持できなくなることもあります。
「取り外して洗える」ことが大きなメリット
インプラントを使った入れ歯は、インプラントの上を入れ歯で覆う構造になります。
そのため、入れ歯そのものを清潔に保つことと、インプラントの周囲をきれいにすること、この両方が重要です。
そこで大きなメリットになるのが、自分で入れ歯を取り外せることです。
入れ歯を「パチン」と外せば、入れ歯だけでなく、インプラントの周囲もしっかり確認しながら清掃することができます。
インプラントだから、お手入れがいらないのではありません。
インプラントだからこそ、毎日のお手入れが大切です。
入れ歯とインプラントの両方を清潔に保つことが、長く快適に使用するための重要なポイントです。
インプラントを使った
入れ歯の症例
患者さんプロフィール
- 年齢:78
- 性別:女性
- 全身状態:問題なし
- その他:嘔吐反射
お口の中の状態
入れ歯が壊れている状態で来院されました。歯がところどころありません。患者さんからの要望としては、「天然の歯のように噛めるようになりたい。」でした。ということで、インプラントの説明を行ったが、固定式ではなく年齢的にも入れ歯を取り外すことができるタイプを選択されました。
見た目に関しては、今の前歯の出具合をそのまま再現して欲しいという要望がありました。
インプラントを上あごに4本埋入
今の入れ歯をコピー
今の入れ歯をコピーした入れ歯を裏で作製します。これにより、今の入れ歯の前歯の出具合を再現できるようにします。
コピー咬合床
コピーした入れ歯を元に、コピー咬合床を作製します。このピンクの部分は、ロウソクの蝋になります。ここに入れ歯の歯を並べると同じような位置で出具合を再現できます。
コピー咬合床試適
お口の中で位置を確認して、噛み合わせを採得します。この時点で前歯の位置に問題がある場合は、その場で修正します。
人工歯配列
模型上で以前の入れ歯と同じ位置に歯を並べています。ほとんどズレはありません。
人工歯配列試適
入れ歯を完成する前にお口の中に試適を行い確認します。唇とマッチしているのを確認します。
完成後入れ歯写真
インプラントが入っていますので、金属を用いて入れ歯を補強して作製しています。
やはり、インプラントを覆う箇所は、特に壊れやすいので、金属で覆うように補強しています。
セット後正面写真
治療後の写真になります。以前の入れ歯の前歯の出具合とほとんど一緒ですので、見た目は問題ありませんでした。
完成後正面写真
お口の中の写真になります。インプラントへは、ボタンのように入れ歯が装着される仕組みになりますので、一度装着するとそう簡単には、外れません。
治療費用
- インプラント×4本:
150,000円×4本=600,000円 - アバットメント×4本:
50,000円×4本=200,000円 - 総入れ歯:1,100,000円
| ピエゾグラフィー | 22,000円 |
| ゴシックアーチ | 16,500円 |
| 顎のレントゲン(CT) | 16,500円 |
| 咀嚼能力試験 | 5,500円 |
インプラントを使った入れ歯
まとめ
今回は、インプラントの上にボタン式のアタッチメントを装着し、入れ歯を「パチン」と固定するタイプの治療を行いました。
治療後、患者さんにも非常に満足していただくことができました。
インプラント治療というと、「入れ歯ではなく、固定式の歯にしたい」と考える方が多いと思われるかもしれません。
しかし実際には、年齢や生活スタイルによって、「自分で取り外せる方が安心」「簡単に外して洗える方がいい」と希望される患者さんもいらっしゃいます。
将来のことまで考えると「外せる」こともメリットです
特に、ある程度の年齢になってくると、現在の噛みやすさだけでなく、10年後、20年後のお手入れのしやすさまで考えて治療方法を選ぶことも大切です。
将来、手先が動かしにくくなったり、介護を受けるようになった場合、複雑なお手入れが難しくなることもあります。
そんなとき、「すぐに外せる」「すぐに洗える」「お口の中も掃除しやすい」ということは、大きなメリットになります。
インプラントを使った入れ歯は、
「普通の入れ歯より安定させたい。でも、自分で取り外せるようにしておきたい。」
そんな方にとって、一つの選択肢になる治療方法です。
インプラント治療は、ただ「固定すること」だけが正解ではありません。
今しっかり噛めること。そして、将来もお手入れしやすいこと。
患者さんの年齢や生活スタイル、将来のことまで考えながら、その方に合った治療方法を選ぶことが大切だと考えています。
入れ歯治療の注意事項とリスク
入れ歯治療では、より快適に使っていただくために、いくつかご理解いただきたい点があります。
- 同じ治療工程を複数回
行う場合があります 精度を高めるため、型取りなど同じ工程を複数回行う場合があり、その際は別途費用が発生することがあります。 - 人工歯の色・形の変更は追加費用がかかります 入れ歯完成後に、人工歯の色や歯並びの変更を希望される場合は、追加料金が必要となります。
- 入れ歯は「完成=すぐ快適」ではありません
痛みや噛み合わせを安定させるには複数回の調整が欠かせません。最低でも装着後24時間以内、1週間後、1ヶ月後の調整が必要です。
その後も、噛み合わせや粘膜の変化に合わせて1~6ヶ月ごとの調整を行います。 - ナイトガード(夜用の装置)の使用をお願いする場合があります 部分入れ歯の方は、夜の歯ぎしり・食いしばりで残っている歯を守るため、ナイトガード(ナイトデンチャー)の使用をお願いすることがあります。
- 1回で完璧に至らない場合があります 入れ歯は非常に精密な治療です。まれに、作り直しが必要になる場合がありますので、ご協力をお願いいたします。
- CT撮影(16,500円)が
必要な場合があります 顎の骨や入れ歯との関係を詳しく確認するため、断層撮影(CT)を行う場合があります。 - 古い入れ歯のコピー作製を行うことがあります(8,800円) 現在使用している入れ歯の形を参考にするため、コピーした模型を作ることがあります。
- 咀嚼能力試験(5,500円)を
お願いする場合があります 現在の噛む力を評価し、入れ歯作製の参考にさせていただくことがあります。 - 定期検診が必要です 入れ歯・粘膜・顎の状態を維持するため、最低でも半年に一度の定期検診・調整をお受けください。
- 他院やご自身での調整は
保証対象外となります 当院で作製した入れ歯を、他院で調整された場合やご自身で削ったり改造した場合は、保証対応ができませんのでご注意ください。 - 指示に従っていただけない場合、治療をお断りすることがあります 安全で適切な治療のため、歯科医師やスタッフの指示に従っていただけない場合は、治療を継続できなくなることがあります。
田中 健久
Takehisa Tanaka
入れ歯なんでも相談室をご覧頂きありがとうございます。渋谷にて開業して20年以上経ち、多くの患者さまにご来院頂いたことを感謝申し上げます。
私は、日本補綴(かぶせ物・入れ歯)歯科学会と日本口腔インプラント学会の両方の専門医を取得しています。そのため入れ歯とインプラント両方の専門医として皆さんの相談に答える事ができます。両方の学会の専門医を取得している歯科医師は、非常に稀です。
よくインプラントは良くない!入れ歯は噛めない!などとおっしゃりますが、私の意見としては、それぞれ利点・欠点があり、患者さまによって全然違います。なのでそれぞれ自分に合った治療方法は、何かを理解した上で治療方針を決定すべきだと考えております。
両サイドから相談にのる事ができますので、どうぞお気軽に相談してください。
【所属学会・資格】
- 日本補綴歯科学会 専門医
- 日本口腔インプラント学会 専門医
- 日本顎咬合学会 咬み合せ認定医
- 日本歯周病学会
- 日本臨床歯周病学会
- *スタディグループ
- 5DJapan-DentureCourseSaporter
【経歴】
- 1999年:岩手医科大学卒業
- 2004年:東京医科歯科大学大学院卒業
- ニューヨーク大学インプラント審美卒後研修修了
- ペンシルバニア大学卒後研修修了
- テンプル大学大学最新歯科治療コース修了
- ブカレスト大学医学部インプラント科卒業
- ハーバード大学インプラントプログラム修了
- いいやま歯科医院:勤務
- 青山通り歯科タナカ:院長
- 渋谷歯科タナカ:院長
- 医療法人社団まる歯:理事長