入れ歯だとごはんが美味しくない? | 渋谷歯科 | 平日夜7時・土日も診療の渋谷の歯医者

2025年07月07日 2025年07月08日

Q

入れ歯だとごはんが
美味しくない?

A

入れ歯で食べると美味しくないと患者さまから相談されることがあります。
なんとかならないのか?と言われて試行錯誤することがあります。
特に上の入れ歯を装着すると食べ物が美味しくないと言われます。
食べ物が美味しくない1番の理由は、何よりも上あごを覆ってしまうためです。
上あごを入れ歯で覆ってしまうと食べ物の熱が伝わらないので、感覚的にも食べ物を味わえないということになります。

詳しい解説はこちら

なぜ入れ歯で食べると
美味しくないのか?

食べ物を美味しいと感じることは、栄養が体全体に届けられるだけではなく脳から幸せホルモンの1つであるドーパミンが分泌されます。
入れ歯を初めて装着される患者さまが、往々にしておっしゃるのは「食べ物が美味しくない」です。私も歯科医師として歯を抜いて入れ歯を装着した患者さまから、食べ物が美味しくないと言われるとガックリくるのですが、そこから創意工夫することである程度食べ物を美味しく感じられるようになってきます。

なぜ?入れ歯を装着すると食べ物が美味しくなくなるのか?それは、入れ歯で色んな部分を覆ってしまうからだと思います。味覚を感じる味蕾は、舌や頬や上あごなど色々な場所に存在しますが、入れ歯で覆ってしまうことで、食べ物を美味しく感じることができなくなってしまうわけです。

入れ歯による
咀嚼(噛む)機能低下が関係している?

咀嚼機能とは、簡単に言うと噛む機能を指します。
噛む機能が低下するとなぜ?食べるのが美味しくないのでしょうか?入れ歯になると咀嚼機能が天然の歯の20%程度まで落ちるとされています。
噛む機能が落ちればもちろん食べ物を粉砕する能力が落ちますので、いくら噛んでも天然歯のように食べ物を小さくすることができません。となるとお肉などは、咀嚼して小さくできないので、丸呑みになると美味しくないと感じてしまうわけです。しかし、入れ歯でも美味しく食事をされている方もいらっしゃいます。

入れ歯=義歯と呼びますが、義足や義手の方も自分の身体の一部のように動かすことができている方がいらっしゃいます。以前にパリパラリンピック車いすテニスで金メダルを獲得した小田凱人選手をたまたまお見かけしたことがありました。その時、車椅子ではなく義足をご使用されていたかと思うのですが、私は小田凱人選手が義足を装着しているようには見えませんでした。
普通の方と大差ない歩き方をされているのをみてあっけに取られました。本当にすごい方だなと思ったのですが、入れ歯(義歯)でも同じように、自分の身体の一部のように扱える方がいます。こんなペラペラの入れ歯(義歯)で本当に噛めるの?と思うのですが、ステーキでもなんでも噛めますよ!と言う患者さまに出会います。

入れ歯(義歯)の調整を何度か行い、はじめのうちは痛い・噛めないと言っていた患者さまが、みるみる内に自分の身体の一部にされて行きます。こんな患者さまの共通点は、入れ歯(義歯)をネガティブに捉えるのではなく、ポジティブに捉えている点になります。
歯を失って入れ歯になった瞬間から、食べれないことに幻滅される方もいらっしゃいますが、ポジティブに捉えてこんな食べ物も食べれるようになった。こうすると入れ歯(義歯)でも噛めるんですよと笑顔で報告してくれる患者さまがいます。確かに入れ歯の噛み合わせやピッタリとした入れ歯は、重要ですがそれ以降は、患者さま次第な気がします。

入れ歯の材料が
味覚に関係している?

入れ歯の材料は、多くがプラスティックになります。
プラスティックと聞いて多くの患者さまが本当なの?と驚かれます。子供さんが使うプラスティックのコップを思い浮かべてください。
ガラスのコップに比べて割れないですが、汚れが付きやすく着色もしやすいですよね。入れ歯の材質もプラスティックなので吸水膨張を繰り返すんです。なので入れ歯は、細菌が付着しやすく嫌な臭いの原因になります。入れ歯で食事をして変な味がするとおっしゃる患者さまがいますが、入れ歯に付着した汚れや細菌が原因だったりすることがあります。

また、プラスティックは、熱の伝わりが遅いです。熱が伝わらないと食事が美味しく感じられないです。
逆に熱が伝わりにくいので熱い味噌汁などで火傷をしてしまったという患者さまもいらっしゃいます。
これは、入れ歯のプラスティック部分では、熱い味噌汁の温度を遮断していますが、ふと油断して味噌汁が粘膜と入れ歯の間に入り込むと火傷をしてしまうという現象になります。入れ歯を装着されている患者さまにとってあるあるな話になります。プラスティックは熱を遮断しますので、熱の伝わりづらさは味覚に関係しているのだと思います。

食べ物の味を
感じる部分はどこ?

食べ物の味を感じるセンサーを味蕾(みらい)と呼びます。
味蕾は、甘味・塩味・苦味・酸味・旨味などを感じる味覚センサーです。味蕾は、舌や喉や口蓋に分布しており、食べ物を噛んで溶け出してくる成分と反応して脳に味を伝えます。
入れ歯は、プラスティックで味蕾の分布している箇所を覆ってしまうんですね。そのため、食べ物の味を感じにくくなってしまいます。特に患者さまからの訴えで多いのは、上あごを覆うことにより味が感じにくいとおっしゃいます。

入れ歯で食べ物が美味しくない時
の解決方法①

  • プラスティックの入れ歯を可能な限り薄く仕上げます。これは薄くすればそれだけ温度を感じやすくなるために行いますが、薄くすればそれだけ割れやすく欠けやすくなります。そのため削るにも限界があります。
  • 金属床にする。金属を用いるとそれだけ強度がありますので、入れ歯を薄く仕上げることができます。また、金属ですので熱伝導率が上がりますので、食べ物の温度を感じやすくなり、食べ物が美味しく感じるようになります。

入れ歯で食べ物が美味しくない時
の解決方法②

上あごの部分を開けてしまう。患者さまによっては、上あごを削って開けるだけで、食事が凄く美味しくなったとおっしゃいます。
やはり上あごには、味蕾が分布しており、味を司どるセンサーがあるのでしょうね。なので入れ歯で上あごを覆ってしまうと食べ物が美味しく感じられないのでしょう。
私は、積極的に上あごを開けるように入れ歯を作製します。もちろんそれには条件があります。上あごの土手がしっかりとしている。残っている健康な歯に磁石やボールアタッチメントなどの装置が装着できる。上あごにインプラントを埋入して入れ歯の支えとなるなどの条件が加わります。

写真の入れ歯は、歯が1本残っているのとそもそも大きな骨の隆起が上あごにありますので、上あごを覆えないのと嘔吐反射もあるため、どうしても開けて欲しいとの要望がありました。初めは上あごを閉じて入れ歯を製作しましたが、食べ物も美味しくないので上あごを開けて欲しいということで削って上あごを開けました。

入れ歯で食べ物が美味しくない時
の解決方法③

インプラントを行い取り外しタイプの入れ歯を固定式に変えてしまう方法になります。この場合は、固定式なので天然の歯と同じような噛み心地になります。上あごも天然の歯と同じくらい開いていますので、味蕾のセンサーを妨げる事もありません。
インプラントのデメリットとしては、外科手術を伴うことと自費(保険外)なので費用が高いという点になります。  また、インプラントで固定式でなくとも取り外しができるタイプの入れ歯タイプのインプラントも可能ですので、詳しくはご相談ください。

入れ歯で食べ物が美味しくないを
解決できない場合①

フラビーガムといって、上あごの前歯の歯ぐきがグニュグニュと動いてしまうような場合は、上あごを開けて入れ歯を製作することができないために、食べ物を美味しく食べるのが難しいです。フラビーガムの場合ですと上の前歯の歯ぐきがグニュグニュと動きますので、上あごを開けてしまうと入れ歯がパカパカと外れてしまうんですね。
何か対策はないかとなるとインプラントの柱を建てて、何かしらの仕掛けで入れ歯を固定する方法が望ましいと思います。

まとめ

入れ歯で食べ物が美味しく食べられない場合は、様々な工夫である程度改善ができますが、中にはインプラントをしないと改善できないという場合もあります。
やはり毎日の食事を味わって食べたいですよね。もしも、毎日の食事が入れ歯になってから楽しくない患者さまがいらっしゃいましたら、お気軽にご相談ください。

ドクター
理事長

田中 健久

Takehisa Tanaka

入れ歯なんでも相談室をご覧頂きありがとうございます。渋谷にて開業して20年以上経ち、多くの患者さまにご来院頂いたことを感謝申し上げます。

私は、日本補綴(かぶせ物・入れ歯)歯科学会と日本口腔インプラント学会の両方の専門医を取得しています。そのため入れ歯とインプラント両方の専門医として皆さんの相談に答える事ができます。両方の学会の専門医を取得している歯科医師は、非常に稀です。

よくインプラントは良くない!入れ歯は噛めない!などとおっしゃりますが、私の意見としては、それぞれ利点・欠点があり、患者さまによって全然違います。なのでそれぞれ自分に合った治療方法は、何かを理解した上で治療方針を決定すべきだと考えております。

両サイドから相談にのる事ができますので、どうぞお気軽に相談してください。

【所属学会・資格】

  • 日本補綴歯科学会 専門医
  • 日本口腔インプラント学会 専門医
  • 日本顎咬合学会 咬み合せ認定医
  • 日本歯周病学会
  • 日本臨床歯周病学会
  • *スタディグループ
  • 5DJapan-DentureCourseSaporter

【経歴】

  • 1999年:岩手医科大学卒業
  • 2004年:東京医科歯科大学大学院卒業
  • ニューヨーク大学インプラント審美卒後研修修了
  • ペンシルバニア大学卒後研修修了
  • テンプル大学大学最新歯科治療コース修了
  • ブカレスト大学医学部インプラント科卒業
  • ハーバード大学インプラントプログラム修了
  • いいやま歯科医院:勤務
  • 青山通り歯科タナカ:院長
  • 渋谷歯科タナカ:院長
  • 医療法人社団まる歯:理事長