自宅でできる日々のブラッシングです。
定期的に歯科医院でプロによるクリーニングを受けていても、やはり毎日の積み重ねは欠かせません。1日2〜3回丁寧に正しい歯磨きをすることで自分の歯を守ります。朝昼晩の3回が理想的ですが、難しい時でもできるだけ就寝前にはしっかりと磨くようにしましょう。就寝時には口内の細菌が増殖しやすくなり、虫歯や歯周病、口臭のリスクを高めてしまいます。
自宅で出来る歯周病対策
目次
1. 歯ブラシについて

2. フロス・歯間ブラシについて

歯の健康を守るために毎日の歯みがきは欠かせませんが、実は歯ブラシだけでは十分に汚れを落としきれないことをご存じでしょうか?
歯と歯の間にはブラシの毛先が届きにくいすき間があり、そこには食べかすや歯垢(プラーク)と呼ばれる細菌のかたまりがたまりやすくなります。
歯ブラシだけでは落としきれない歯と歯の間にはフロスや歯間ブラシなどの補助用具を用いてできる限り汚れを落としましょう。歯ブラシだけで磨いた場合には、全体の60%ほどしか汚れを落とせていないと言われています。
歯垢は虫歯や歯周病の原因となるため、しっかり取り除くことがとても大切です。
そこで役立つのがデンタルフロスです。
デンタルフロスは細い糸を使って、歯と歯の間に残った汚れを取り除くための清掃用具です。糸の摩擦で歯の側面についた歯垢をかき出すことができ、歯ブラシでは届かない部分のケアが可能になります。毎日のブラッシングにフロスを組み合わせることで、虫歯や歯周病のリスクを大きく減らすことができます!
フロスの種類について
フロスには大きく分けて二つの種類があります。
ホルダータイプ
ひとつはホルダータイプと呼ばれる持ち手付きのフロスです。
Y字型やF字型のプラスチックの柄にフロスが張られており、初めて使う方や小さなお子さまでも扱いやすいのが特徴です。
ロールタイプ
もうひとつはロールタイプと呼ばれる糸だけのフロスです。
好きな長さに切って指に巻き付けて使うため、慣れるまでは少し難しいかもしれませんが、歯と歯の間にしっかり沿わせることができるので清掃効果が高いといわれています。
フロスの使用方法について
ここからは基本的な使い方を順を追って説明します。
まず、ロールタイプの場合は、およそ四十センチほどの長さに糸を切り取ります。
両手の中指に二巻きほど巻き付け、その間に十センチほどの糸を残して張るようにします。
そして両手の親指と人差し指で糸をピンと張りながら操作します。
フロスを歯と歯の間に通すときは、力まかせに押し込むと歯ぐきを傷つけることがあるため、歯の側面に沿わせながら前後にゆっくり動かし、少しずつ歯ぐきの近くまで入れていきます。
歯ぐきに軽く触れたら、そこから歯の側面に沿わせて上下に動かし、歯垢をかき取ります。
片方の歯に沿わせて清掃したら、反対側の歯にも同じように沿わせて上下に動かします。
歯と歯の間ごとに新しい面の糸を使うようにするとより清潔です。
詰め物がしてある歯の場合は指巻きのタイプを使用し、抜く際に横からスっと抜くと外してしまうような力が掛からず安心です。ホルダータイプのフロスも基本の動きは同じです。糸の部分を歯と歯の間にゆっくり入れて、歯の側面に沿わせながら上下に動かします。
柄が付いているため奥歯の間にも入れやすく、力の加減もしやすいので初心者にはおすすめです。
夜寝る前の歯みがきのあとにフロスを通すのが最も効果的です。
一日の中で最も長く口の中が乾きやすく細菌が増えやすいのは就寝中なので、その前に歯と歯の間をきれいにしておくと虫歯や歯周病の予防につながります。
フロスを続けていると最初のうちは出血することがあります。
これは歯ぐきに炎症があるサインです。
汚れをしっかり落とすことで少しずつ歯ぐきが引き締まり、出血はおさまっていきます。
ただし強い痛みや大量の出血が続く場合には自己判断せず歯科医院にご相談ください。
フロスの口臭予防の効果について
毎日のフロス習慣にはもうひとつ大きな利点があります。それは口臭の予防です。
歯と歯の間にたまった汚れは細菌の温床となり、不快な臭いの原因になります。
フロスを使って清潔な状態を保つことで、息もさわやかに保てます。また歯ぐきの健康状態も良くなり、将来的に歯を失うリスクを減らすことができます。
使用時の注意点
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フロスを使うときに注意していただきたいのは、無理に押し込まないことと、歯ぐきを傷つけないことです。
また毎日使うことを意識し、習慣として取り入れるのが大切です。
フロスを使うことは特別なことではなく、毎日の生活の中に取り入れられる簡単な習慣です。
歯ブラシだけでは落とせない汚れをしっかり取り除くことは、ご自身の歯を守るための最も効果的な方法のひとつです。
ぜひ今日からフロスを取り入れ、歯の間まできれいにする習慣を始めてみてください。
当院では、患者さま一人ひとりに合わせたフロスの使い方や、適切な清掃用具の選び方をお伝えしています。
実際に体験してみると操作のコツが分かりやすくなりますので、使用方法や選び方に関してお気軽にお尋ねください。
毎日の小さな積み重ねが、将来の大きな健康につながります!あなたの大切な歯を守るために、フロスを上手に活用していきましょう。
3. マウスウォッシュと
液体歯磨きについて
マウスウォッシュの効果と
液体歯磨きとの違いについて

日常のオーラルケアといえば、歯ブラシを使ったブラッシングが基本です。
毎日の歯磨きでしっかりと歯垢(プラーク)を取り除くことが、むし歯や歯周病の予防につながります。しかし近年は、歯ブラシだけでなく「マウスウォッシュ(洗口液)」や「液体歯磨き」といった新しいケア用品も多く販売され、薬局やスーパーで簡単に手に入るようになりました。
患者さんからも「マウスウォッシュって本当に効果があるの?」「液体歯磨きとは何が違うの?」といったご質問をいただくことが増えています。ここでは、それぞれの特徴や効果、使い分けのポイントを詳しくご説明いたします。
マウスウォッシュ(洗口液)の役割と効果
マウスウォッシュは、歯ブラシやフロスでの清掃だけでは取り切れなかった汚れや細菌を減らすために使用する「補助的なケア用品」です。口に含んでブクブクとすすぎ、吐き出すだけの簡単な方法で使用できるため、忙しい方でも手軽に取り入れやすい、という特徴があります。
主な効果
口臭予防
口腔内の細菌が出すガス(揮発性硫黄化合物など)が口臭の原因となります。
マウスウォッシュは殺菌成分や香料によってこれらを抑制し、さわやかな息を保ちます。
殺菌作用
クロルヘキシジンやセチルピリジニウム塩化物(CPC)などが配合された製品は、歯周病菌やむし歯菌の増殖を抑える効果があります。
歯ぐきの炎症を防ぐサポートとしても有効です。
むし歯予防
フッ素入りマウスウォッシュは、歯の再石灰化を助け、初期むし歯の進行を抑える効果があります。
就寝前に使用することで予防効果が高まります。
歯周病予防
歯周病の原因となる細菌を減らすことで、歯ぐきの腫れや出血を軽減し、健康な歯肉を保ちやすくなります。
ただし、マウスウォッシュはあくまで「補助的」な役割です。歯の表面に付着したプラークは、歯ブラシで物理的にこすらなければ落とすことができません。液体だけでは完全に汚れを取り除けないため、「歯磨きの代わり」にはならない点を理解しておきましょう。
実際、歯ブラシだけで除去できる汚れは全体の約60%程度と言われています。残りの汚れを取り除くには、デンタルフロスや歯間ブラシといった補助清掃具が必要です。しかし「使い方が難しい」「毎日続けるのは面倒」と感じる方も少なくありません。
そんな方にとって、マウスウォッシュは簡単に取り入れられるケア方法として有効です。
液体歯磨きとの違い
マウスウォッシュとよく混同されるのが「液体歯磨き」です。どちらも「液体タイプ」なので似て見えますが、使用方法と目的が大きく異なります。パッケージに書かれてはいるのですが同じものと思い気にせず使われている方が多いのではないでしょうか?
マウスウォッシュ(洗口液)
歯磨きのあとに使用する仕上げのケア用品。口をすすいで吐き出すだけで、基本的にうがいは不要です。
液体歯磨き
歯磨き粉の代わりに使うもので、口に含んだあとに歯ブラシで磨きます。泡立ちが少なく、ペーストタイプが苦手な方でも使いやすいのが特徴です。つまり、液体歯磨きは「ブラッシングが前提」、マウスウォッシュは「ブラッシング後の補助」と考えるとわかりやすいでしょう。
それぞれがおすすめな人
マウスウォッシュが向いている人
- 外出先や職場で歯磨きができないときにリフレッシュしたい方
- 口臭が気になる方
- 歯周病リスクが高い方
(歯ぐきの腫れ・出血がある) - 矯正治療中やインプラント治療中で磨き残しができやすい方
液体歯磨きが向いている人
- チューブの歯磨き粉の泡立ちや味が苦手な方
- 小さなお子さんや高齢の方でペーストタイプを使いにくい方
- 口の中が乾燥しやすく、摩擦による刺激を避けたい方
使用時の注意点
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アルコール入りの刺激
アルコール配合のマウスウォッシュは爽快感が強い一方で、口の粘膜を刺激することがあります。
口内炎ができやすい方やお子さん、高齢者にはアルコールフリーがおすすめです。 -
クロルヘキシジンの着色
高い殺菌効果がある反面、長期使用すると歯に茶色い着色が起こる場合があります。
使用期間や濃度については歯科医師の指導に従ってください。 -
ブラッシングの代わりにならない
マウスウォッシュを使ったからといって歯磨きをおろそかにしてはいけません。
必ず歯ブラシ・フロスでの物理的清掃が基本です。
マウスウォッシュは、口臭予防や歯周病予防に効果的な「補助的なケア用品」です。
一方で液体歯磨きは、歯磨き粉の代わりに使用するもので、役割が異なります。
どちらも正しく理解して使い分けることで、日常のオーラルケアの質を高めることができます。
当院では、患者さん一人ひとりのお口の状態に合わせて最適なケア用品をご提案しています。
製品選びで迷ったときや、自分に合う使い方が分からないときは、どうぞお気軽にご相談ください。