歯を残すためにできること | 渋谷歯科 | 平日夜7時半・土日も診療の渋谷の歯医者

歯を残すためにできること

はじめに

「虫歯や歯周病が悪化している気がする」「自分の歯を何とか残したい」
このようにお悩みではありませんか?虫歯や歯周病などさまざまな原因で歯を失ってしまうと、自分の歯は二度と戻ってきません。自分の歯を残すためには、適切なケアを施す予防歯科の取り組みが有効です。

本記事では、自分の歯を残したいと考えている方へ向けて、歯を失う原因や歯を残すために有効な予防歯科の取り組みについて紹介していきます。
自分の歯を守るためにできる取り組みとして、是非とも参考にしてください。

歯を失う原因とは?

歯を失う原因は主に虫歯と歯周病です。

2018年に全国2,345の歯科クリニックで行われた抜歯の原因調査では、歯周病が最も多く、全体の37.1%、虫歯が29.2%、破折が17.8%でした(※)。

若年層では虫歯で歯を失うケースが多く、加齢とともに歯周病が進み、残った歯が歯周病で失われるケースが多くなります。

自分の歯を残すためには、まずは歯を失う原因の認識が大切です。歯を失う主な原因である歯周病と虫歯について紹介します。

引用元:第2回永久歯の抜歯原因調査報告書(公益財団法人 8020推進財団)P25

歯を失う最も多い原因は歯周病

歯周病とは歯の周りの歯ぐきや歯を支えている骨が溶けてしまう炎症性疾患です。歯と歯ぐきの間にある溝(歯周ポケット)に細菌が入り、歯ぐきに炎症を引き起こします。さらに炎症が広がり、歯を支えている骨を溶かし、歯をグラグラにしてしまい、最悪の場合は歯が抜けます。

歯周病の原因は、白くネバネバした細菌の塊である歯垢(プラーク)です。
プラーク1mgの中には、おおよそ1億個もの細菌が存在しており、食後8時間程度で形成され、歯の表面に付着します(※)。
プラークが歯ぐきに付着し、歯周ポケットにも溜まり、細菌は歯周ポケットから歯の根っこの奥まで入りこみ増殖します。
細菌が作り出す毒素によって歯ぐきの炎症だけではなく、歯を支えている骨が溶けます。
歯周病を防ぐには、原因となるプラークを徹底的に除去しなければなりません。

引用元:プラーク/歯垢(厚生労働省e-ヘルスネット)

歯を失う2番目に多い原因は虫歯

虫歯とは、プラークの中の虫歯の原因菌(ミュータンス菌)によって、歯の表面のカルシウムが溶け、歯に穴が開いてしまう病気です。

プラークの中のミュータンス菌は砂糖などを分解して酸を作り出します。酸によって歯の表面は酸性になり、カルシウムが溶け出します。酸は唾液の作用によって中和され、再びカルシウムが歯の表面に戻ります。歯の表面では常にこの働きがくり返されています。

プラークを長時間放置したり、ミュータンス菌の大好物である糖分をとり続けたりすると、歯の奥の部分まで歯が溶けてしまいます。唾液の作用だけでは修復しきれず、歯に穴を開けはじめた状態が虫歯です。
虫歯を防ぐためには、原因となるプラークを徹底的に除去し、虫歯になりにくい食生活を心がけるなどの対策が必要です。

歯を失った場合の治療

歯を残すためにできることは予防歯科の取り組み

歯を失う原因は主に歯周病と虫歯です。歯を残すためには、歯周病と虫歯を予防する予防歯科の取り組みが有効です。

予防歯科とは、歯周病や虫歯が進行してから治療する歯科治療とは異なり、歯周病や虫歯を未然に防ぎ、お口の中の状態を維持・向上させることを目的としています。

予防歯科の具体的な取り組みを3つ紹介します。

1. 自分で取り組むセルフケア
2. 正しい食習慣と生活習慣
3. 歯科クリニックで受けるプロフェッショナルケア

順番に説明します。

1:自分で取り組むセルフケア

セルフケアとは、日常的に自分で行う歯磨きであり、予防歯科の基本です。
歯磨きの際、多くの人が歯ブラシのみを使用していますが、実は58%程度しか汚れは落とせていません。

歯と歯の間には歯ブラシは届かず、磨き残しがあるためです。歯ブラシに加え歯間ブラシを併用すると95%プラークが除去され、歯ブラシとデンタルフロスを併用すると86%プラークが除去されるとのデータも発表されており、歯ブラシと歯間ブラシやデンタルフロスの併用が有効だとわかります。(※)

セルフケアでは、歯ブラシに加え、自分に合ったその他のデンタルケアグッズ(歯間ブラシ・デンタルフロス・タフトブラシ・舌ブラシ・洗口剤)を併用しましょう。

毎食後、正しいブラッシングとデンタルケアグッズの使用によってプラークを除去し、虫歯や歯周病が進行しにくいお口の中の環境を作ります。

引用元:日本歯周病学会会誌1975年17巻2号p.258-264

2:正しい食習慣と生活習慣

歯磨きだけが予防歯科ではありません。
虫歯や歯周病になりにくい口腔内環境を作るためには、正しい食生活と生活習慣が関係しています。

偏った食生活を続けると免疫力の低下につながり、糖分を多く含んでいる飲食物の過剰摂取は虫歯のリスクを高めます。
糖分を多く摂取するだけではなく、ダラダラ摂取し続けることにも注意が必要です。

ダラダラ食べ続けているとお口の中が酸性の時間が長くなるため、お口の中が中和される唾液の作用と働きのバランスが崩れ、虫歯の進行へつながります。バランスのよい食事を心がけ、食事と間食の時間を決めることが大切です。

生活習慣では唾液の分泌を減らす睡眠不足やストレス、口呼吸、よくかまずに食事する、喫煙、飲酒などをコントロールする必要があります。唾液には殺菌作用があり、お口の中の環境を整えるための大切な役割を担っており、唾液の分泌が減ると歯周病や虫歯のリスクが高まります。

喫煙は唾液の分泌を減らすだけではなく、歯周病を悪化させる・治療しても治りにくいなどのリスクもあります。喫煙している人は特に注意が必要です。 歯ぎしりや歯の食いしばりが強い人はナイトガードを作製し、毎晩装着して寝ることで歯を守れます。

3:歯科クリニックで受けるプロフェッショナルケア

どんなに丁寧にセルフケアしても、プラークは落としきれません。

お口の中に残ったプラークは、時間がたつとネバネバした膜(バイオフィルム)や歯石が形成されます。バイオフィルムや歯石は放置すると細菌の温床となり、歯周病や虫歯を悪化させます。

どちらも自分で取り除くことはできず、歯科クリニックの専門器具で除去が必要です。

プロフェッショナルケアでは、口腔内の状態確認や歯ぐきの検査、歯磨き指導、生活習慣指導、歯石取り、歯のクリーニング、フッ素塗布などを施します。定期的に歯石やバイオフィルム、プラークを徹底的に除去して歯周病や虫歯を予防、進行を防ぎます。
またお口の中に問題があった場合、早期発見できるので、虫歯などが重症化する前に治療が可能です。

歯磨き指導を受けると、自分の磨き方の癖や磨き残しをしやすい部分がわかり、適切な歯磨きができるようになります。また、自分のお口の中の状態に適した歯ブラシや歯磨き粉、その他デンタルケアグッズの提案を受けたり相談できたりするため、日常的に行うセルフケアに生かせます。

一般的に3ヵ月に一度のペースでプロフェッショナルケアを受けますが、お口の中の状態に応じて頻度は異なるため、歯科医師や歯科衛生士と相談して次回のスケジュールを立てましょう。

歯のクリーニング

自分の歯を多く残している予防歯科大国スウェーデンに学ぶ

スウェーデンでは、国家戦略として予防歯科に取り組んでいます。その結果、80歳時点で残っている歯の本数がスウェーデンでは21.1本(※1)です。
日本では15.6本(※2)と大きな差があり、予防歯科が定着しているスウェーデン国民の多くが自分の歯を維持していることがわかります。

現在日本では少しずつ予防歯科が定着し始めており、8020(ハチ・マル・ニイ・マル)運動の取り組みがあります。8020運動とは、80歳になっても自分の歯を20本以上保つことを目的としています。20本以上の歯があれば、ほぼ満足に食べたいものが食べられると言われています。(※3)

自分の歯を多く残すことは、満足のいく食事をとり、全身の健康状態の維持へつながります。
スウェーデンの予防歯科の取り組みの結果からわかるように、予防歯科は自分の歯を残すために非常に有効な取り組みだとわかります。予防歯科を自分の生活に取り入れることで、自分の歯を守りましょう。

※1参考SWEDISH DENTAL JOURNAL VOL.39 ISSUE 2 2015 p75
※2参考令和4年歯科疾患実態調査結果の概要 表17(厚生労働省)
※3参考8020運動とは(厚生労働省e-ヘルスネット)
健康な歯を維持する秘訣とは?

予防歯科に取り組むメリット

予防歯科に取り組むメリットは、自分の歯をできるだけ長く残すだけではなく、次のメリットもあります。

●お口の中の健康維持・予防
●全身の健康状態の維持・予防
●虫歯の早期発見・早期治療
●きれいな歯を保ち、自信のある口元になる
●歯科治療にかかる費用と時間の低減

お口の中の健康状態は、全身の健康状態にも大きく関係しています。特に歯周病菌が全身に巡ってしまうと心疾患や誤嚥性肺炎、糖尿病などさまざまな疾患に影響します。

虫歯が重症化した場合は被せ物をするなどの治療が必要となり、歯を失った場合は、歯を補う治療(入れ歯・ブリッジ・インプラントなど)が必要です。その場合、治療費は高くなり、治療にかかる時間も長くなります。

予防歯科の取り組みは全身疾患の予防にもつながるため、結果として歯科治療費だけではなく、歯科以外の医療費の低減にもつながるでしょう。

予防歯科って何をするの?その重要性やメリットとは

予防歯科で自分の歯を維持しよう!

自分の歯を残すためには、予防歯科への取り組みが有効です。
予防歯科は、日常的に自分で行うセルフケアと定期的に歯科クリニックで受けるプロフェッショナルケアを両立して進めていくことが重要であり、継続して習慣化していく必要があります。

歯周病や虫歯で歯を失ってからでは、二度と自分の歯は戻ってきません。
失った歯を補う方法はありますが、自分の歯に勝るものはなく、治療費と治療にかける時間の負担がかかります。

予防歯科はいつからでも始められます。
自分の歯を残すためにできることを探している方や予防歯科について悩んでいる方は是非ともお気軽にご相談ください。

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