予防歯科と将来の歯科治療費の関係 | 渋谷歯科 | 平日夜7時半・土日も診療の渋谷の歯医者

予防歯科と将来の歯科治療費の関係

予防歯科とはなにか

今まで、歯科医院は「何をされるかよくわからない」「麻酔の注射とか、歯を削ったり、歯の神経を取ったりなど、痛い処置をされるところ」であり、「歯が痛い時、歯ぐきが腫れた時に行くところ」という認識の方が多くみられました。

これは保険診療でカバーする内容が虫歯や歯周病などの発生した病気を治療することが目的だからです。しかし近年では虫歯予防、歯周病予防といった予防歯科の部分をカバーするようになってきました。

その予防歯科には、主な3つの目的があります。

  1. 虫歯や歯周病の早期発見と早期治療

    定期的な歯科検診やクリーニングにより、虫歯や歯周病などが早期に発見されます。早期に発見して治療してしまうことで、虫歯や歯周病の進行を防ぎ、必要に応じた早期治療をすることができます。

  2. 重度の歯科治療にならないよう未然に防ぐ

    万一虫歯や歯周病が見つかっても、より軽めの治療で済ませることができます。そのため重度の治療を回避することができ、痛いイヤな思いをすることも減らせます。そして歯科治療費用も大幅に削減できます。

  3. お口の健康を継続的に維持する

    予防歯科により、皆さんはお口の健康をより良い状態で維持することへ意識・関心が高まります。自宅での日々のブラッシング、歯肉のケアと歯科医院での予防的な口腔ケアとを継続的に行っていくことで、お口の中を良好に維持することもでき、ひいては全身の健康へとつながります。

虫歯の予防 歯周病の予防 歯のクリーニング

予防歯科の重要性が高まっている

近年、予防歯科の重要性が高まっています。その背景には以下の4つがあります。

まず、TV番組や雑誌の記事など、多くのメディアにおいて予防歯科に関する記事・情報が取り上げられるようになりました。なかでも、歯周病と糖尿病、肺炎、虚血性心疾患などの関連が、度々メディアで取りあげられています。

また、ドラッグストアでは歯周病予防をうたった歯磨き粉やマウスウォッシュ、デンタルフロスや歯間ブラシなど、様々な予防歯科グッズが販売されています。 このように予防歯科の認知度・重要性の認識が広まっており、歯科医院を受診する人々が増えています。

2つ目として、歯科分野においても歯科医療技術の進歩が進んでいます。高精細なデジタルレントゲンや口腔内カメラなどによる画像診断技術の向上により、ごく早期の虫歯や歯周病の発見が可能となり、早期に適切な治療が行われることから、虫歯や歯周病予防につながっています。

2今後は皆さんの個々の状態をより精密に診断することができ、かつより効果的な予防方法が出てくることでしょう。その結果、より早期に虫歯や歯周病の発生を検知することができるでしょう。

3つ目として、虫歯や歯周病の予防処置が普及してきていることがあります。なかでも、歯へのフッ素塗布、小さな溝を埋めるシーラントなどの予防的処置を受ける人が増えています。これらの処置は虫歯の発生を防ぐ効果があり、特に子どもたちの虫歯予防に効果的です。

医学の分野では、Evidence Based Medicineが言われており、歯科医療でも同じです。科学的な研究結果に基づいた予防歯科のアプローチが今後も増えていくことでしょう。フッ素塗布やシーラントもエビデンスに基づいた医療の1つです。今後もどのような予防方法がより効果的か明らかになり、さらに効果的な治療法の開発にもつながるでしょう。

4つ目として、全身の健康と口元の美容への関心が高まっています。コロナウイルスの流行拡大を機に健康志向が高まっています。歯科医院を元々定期的に受診していたが、外出を控えるようになったため歯科医院を受診しなくなり、虫歯や歯周病を悪化させてしまう方や、コロナ禍のストレスで食いしばり、歯に痛みが出てから受診される方が増えました。

日中もマスクを装着する生活が強いられたことを逆手にとる人もいます。マスクで隠せる間に歯列矯正を受けて歯磨きしやすい美しい歯並びにしたり、ホワイトニングによって白い歯を保つことなどに関心が高まっています。これらのことから、予防歯科の重要性が認識されてきています。

予防歯科と将来の歯科治療費との関係

予防歯科は、今後ますます重要になっていくと考えられています。これは、お口の病気を予防することが全身疾患や健康問題を未然に防ぐことにつながり、かつ非常に効果的だと認識されてきているためです。

この背景には、2011年のトヨタ関連部品健康保険組合と豊田加茂歯科医師会の共同調査にて、定期的に歯科を受診している人は、生涯医療費が平均で約15万円安くなるという結果が出た。といった予防歯科の重要性を伝えるニュースを見聞きするようになったこともあります。

そして、予防歯科は一般的に費用対効果が高いと認識する方が増えています。予防歯科のような口腔ケアに投資することは、将来の治療費を削減することができるため、個人のみならず、社会全体の負担も軽減されると期待されます。

これらのことから、今後、予防歯科は以下のようなポイントで発展していくものと予想されます。

  1. 人々の健康への意識の向上

    予防としての歯科治療は、歯をクリーニングするなど、痛みの少ない気持ちの良い治療です。このことに気づいた人たちは、「歯科医院は予防歯科のために行くところ」と行動しています。

    この流れから、引き続き、自分への健康意識が高まるにつれて、口腔の健康維持についても意識が高まり、予防歯科を希望して歯科医院を受診する人が増えるでしょう。定期的な歯科検診とクリーニングを受ける人々が増えていくと予想されます。

  2. エビデンスに基づいた個別化治療の確立

    人工知能による画像診断システムが開発されています。レントゲン画像や口腔内写真から虫歯の場所、歯周病の場所を肉眼よりも細かいレベルで評価できるようになってきました。

    またゲノム研究や遺伝子治療などの発達により、個々の患者さまの虫歯リスク、歯周病リスクを詳細にかつ事前に評価するようになれば、皆さんそれぞれに合ったオーダーメイドな予防歯科戦略を立てることも可能となるでしょう。

そして、将来の歯科医療費は以下の2つの特徴が出てくると考えられます。

  1. 歯科医院での治療が予防歯科へシフトする

    予防歯科の重要性が広く認識されることで、医療保険や公的な健康プログラムにおいても予防歯科を取り込む動きが増えること期待されます。

    たとえば、小学校での歯磨きの教育、保健の授業で口腔衛生・予防歯科ついての教育がより多くなっていくかもしれません。

    また人間ドックの際に歯科検診が組み込まれ、企業検診で歯科検診を取り入れる企業が増えています。これらの動きにより、予防歯科を受診する人々が増え、より多くの人々が健康な口腔内を維持できることが期待されます。

    その結果、歯科治療も予防、メンテナンスを中心とした診療になり、医療費の総額は減っていくと考えられます。

  2. ブリッジや入れ歯などの治療が減っていく可能性

    虫歯や歯周病で歯を失うことが減ってくると予想されます。となると、ブリッジや入れ歯などの治療が減っていく可能性があります。

    しかし、将来の歯科治療費に対しては他の要因も影響を及ぼすことを忘れてはなりません。例えば、新しい歯科技術や材料の導入、高度な治療法の普及、労働力やインフレーションの影響など、さまざまな要素が治療費に影響を及ぼす可能性があります。

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まとめ

予防歯科の普及と適切な口腔ケアを実践することは、患者さまの心身の健康と将来の歯科治療費を抑えるという2つのプラスの影響をもたらすことが期待されます。みなさんもこの機会にぜひ予防歯科を中心とした生活にシフトして、より良いお口と全身の健康を維持しましょう。

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