主な症状:冷たいものがしみる
知覚過敏かもしれないと、自覚症状をもって歯科医院を訪れる患者様がよく訴える症状として、“冷たいものがしみる”という症状があります。このフレーズは、知覚過敏用の歯磨き粉のCMでもお馴染みになっています。
歯磨き時に冷たい水で口を濯ぐのがつらい、お風呂上りにキンキンに冷やしたビールを飲むのがご褒美だったのに、一口目が痛いという方もいらっしゃいました。
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歯がしみる
何かを飲んだり、冷たいものを食べたりするとき、歯がしみることってありませんか?それ、ひょっとすると、知覚過敏かもしれません。
知覚過敏とは、この字のごとく知覚が過敏であることです。そのため冷感や痛み以外にも歯の感覚が過敏であること全般を知覚過敏ということができます。
では、知覚過敏の症状とは具体的にどのような症状があるのでしょう?自覚症状が少ないだけで、実は自分も知覚過敏かもしれません。
知覚過敏かもしれないと、自覚症状をもって歯科医院を訪れる患者様がよく訴える症状として、“冷たいものがしみる”という症状があります。このフレーズは、知覚過敏用の歯磨き粉のCMでもお馴染みになっています。
歯磨き時に冷たい水で口を濯ぐのがつらい、お風呂上りにキンキンに冷やしたビールを飲むのがご褒美だったのに、一口目が痛いという方もいらっしゃいました。
冷たいものが“一時的”にしみるが、しっかり毎食後の歯磨きなどを実施しているので虫歯ではないはずというお口の健康に自信を持った方は、初診の段階で知覚過敏かもしれないとお話をされる方が多いです。
患者様の中には、“冷たいものはあまり気にならないから、知覚過敏ではないかもしれない”と“歯がサワサワする感じ”、“なんとなくかゆいような一瞬の痛みです”といった症状を訴える方もいらっしゃいます。
知覚過敏の患者様に共通しているのは、冷たい水に限らずその感覚を感じる何らかのきっかけがあるということです。
毎晩の歯磨きの際に歯ブラシが当たったり、歯磨き粉がたくさん付くと痛いといった症状を訴える方もいらっしゃいます。また、流行りのランニングの際に、風が当たると前歯が痛くてというスポーツマンの方もいらっしゃいました。同じように、冬になると風がしみて前歯が痛いのでマスクをしていますという患者様もいらっしゃいました。
知覚過敏という症状は、テレビコマーシャルの影響もあり一般的な理解が高まりつつある症状の1つです。一方で、冷たいものがしみる=知覚過敏という偏った認識があることは、注意が必要です。知覚過敏の症状は、生活習慣によるものや、ホワイトニングの薬剤によるものなどその原因は各患者様によって異なります。
自分の歯の違和感が、どういったことがきっかけで起こるのか、例えば冷たいものを飲んだとき、風が当たったとき、甘いものを食べたときなど、痛みや違和感の表現のほかに、どういったシチュエーションで起こるものかにも気を配るようにできるとよいと思います。
知覚過敏の症状を訴える患者さんは、2つのタイプに分けることができます。
知覚過敏は自己診断してはいけません知覚過敏は、冷たい水でうがいをした際など、何かきっかけがあった場合に一瞬の痛みや不快を感じる症状です。
その時間が“一瞬”であることから、患者様の中には重症ではないと自己判断してしまう方がいらっしゃいます。しかし、知覚過敏を放置することで、症状が重くなり歯の神経を抜かなくてはならなくなる患者様もいらっしゃるのは事実です。
お口の中に何か困った症状がある場合には、早め早めにかかりつけの歯科医院にご相談ください。
知覚過敏の原因…それはズバリ、「象牙質」の露出です。
歯は、外側からエナメル質、象牙質、そして歯の根っこの部分のセメント質という3つの層で構成されています。この一番外側のエナメル質が何らかの原因で無くなり、そのすぐ下にある象牙質に刺激が加わることで、痛みや不快が生じるのです。
象牙質が露出する原因には、歯周病や毎日の生活習慣、ホワイトニングなどがあります。詳しく見ていきましょう。
実は、知覚過敏は歯科の領域では根本的な治療方法が見つかっていないのが現状です。知覚過敏が起こる主原因は、エナメル質が減ってしまうことによる象牙質への刺激が大きくなることと考えられています。「キィーン」とした痛みや不快感がある場合には、症状がひどくなる前にかかりつけの歯科医院に相談をしてみましょう。
いうまでもなく、一番良いのは歯医者さんに行き、治療してもらうことです。
でも、なかなかそんな時間が取れない、という方もたくさんおられるでしょう。そのため、まずは自宅で、そして自分でできる対処法をご紹介します。効果が表れるまでには個人差がありますので、一概には言えませんが、一般的な対処方法です。
※セルフケアは一時的な処置にすぎませんので、どうしても歯医者に行く時間がない、とか、明日明後日まで我慢しなくちゃいけない、といった緊急時の処置と思ってください。可能ならばなるだけ早く歯医者へ行き、治療することをお勧めいたします。
知覚過敏の原因は、食生活や歯の間違った磨き方によるものが多いので、大切なのは正しいセルフケアを習得することです。
最近では知覚過敏専用の歯磨き粉も良く見かけるようになりました。こうした知覚過敏用の歯磨き粉の多くには、硝酸カリウムという成分が含まれています。この物質は、お口の中でカリウムイオン(K+)として存在し、歯の神経が痛みを感じるスイッチをふさぐ働きがあります。
この硝酸カリウムが露出した象牙質を優しくカバーし、刺激が象牙細管まで伝わらないようにし、知覚過敏の症状を緩和するという、簡易的なエナメル質のような働きをしてくれます。
親知らず(智歯)抜歯後の麻痺やしびれ唾液の中にはカルシウム・リンなど丈夫な歯に必要なミネラルがたくさん含まれています。
ですから、唾液をたくさん出すことでなくなってしまったミネラルを補い、知覚過敏を治すことができます。でも、唾液をたくさん出すって、どうすればいいの?と思われるでしょう。
そこでお勧めなのが、キシリトール入りのガムです。できればキシリトール70%程度のものをチョイスしてください。キシリトールを噛んでいると唾液が出ます。ポイントは、その唾液をすぐに呑み込まないこと、です。5分くらい口の中でかみながら、唾液を歯にしみこませる、そんなイメージで噛むと効果が高くなります。
また、普段の食事でもよく噛むようにすればたくさん唾液が分泌されます。ですから、ゆっくりたくさんかみながら食べるようにしましょう。
そもそも、知覚過敏の原因の一つは、歯ぎしりによってエナメル質が削れてしまうことでした。
ですから、マウスピースを着用して寝ることで、歯ぎしりがなくなり、それが知覚過敏を予防し、症状を和らげてくれます。
知覚過敏の痛みがひどい場合に、応急処置として「消炎鎮痛剤」の内服で症状を抑えることができます。
冷たいものがしみる、歯ブラシの毛先が当たると痛い、不快感があるといった症状で歯科医院に通院すると、まずは一通り虫歯の有無や、歯周病の有無について確認が行われます。
その際に、歯磨きの習慣や、お酢のドリンクなど酸性の強い飲み物の嗜好品がないかなど日常の生活スタイルについて問診が行われ、正しい歯磨きの指導や歯にはあまりよくない嗜好品などについての説明が行われます。
度の知覚過敏の場合は、嗜好品に関する説明や歯磨き指導の上、自宅でフッ素が配合された歯磨き粉や、知覚過敏を予防する歯磨き粉を使用しているうちに再石灰化が促進され、知覚過敏の症状が軽快しなくなっていくことが理想です。
歯磨きの力が強すぎる、もしくは歯ブラシを一部分の歯にだけ、横磨きが集中している場合などは、歯肉の近い部分の歯質が削れている場合があります。
歯の一部分が削れていない状態でも症状が気になる場合には、歯の表面にマニキュアのようにコーティング剤を塗ることもできます。
この方法は、ご自宅でフッ素配合の歯磨き粉による再石灰化を待つよりは、即効性があるのですが、毎日の食事や歯磨きで削れてしまうので一時的な治療方法といえます。
歯肉に近い歯の一部分が削れてしまい見た目が悪くなった場合には、虫歯同様に硬質レジンという材料で削れてしまった部分を埋める処置が行われます。
冷たい水でうがいをする、歯ブラシの毛先が当たる、風が強い日に外を歩いていると歯に風が当たってしまうなど、何らかのきっかけで一瞬の痛みや不快を感じることが、知覚過敏ですが、その痛みが強く、長い時間続くといった場合には、歯の神経を抜くことで痛みを感じなくなる処置をすることができます。
しかし、歯の神経を抜いてしまうと歯を再石灰化する働きなどが起こらなくなるため、歯の強さがなくなってしまい、歯がかける、虫歯になりやすいといったリスクがあります。
そのため、知覚過敏の治療のうち、歯の神経を抜くことは最終手段といっても過言ではありません。
知覚過敏は、本当につらいものです。最初はちょっと我慢すれば大丈夫、くらいにしか思っていなくても、それが続くと、我慢できないほどの痛みになってしまいます。そうなると、歯医者に行って時間がとられてしまいますので、とっても大変です。
普段から、正しいブラッシングを心がけること、歯ブラシと歯磨き粉にもしっかりと気を配って選ぶこと、また定期的に歯医者での検診を受けること、など予防することをまず心がけるようになさってください。
知覚過敏は保険適応
知覚過敏の症状がある歯は、2つのパターンが考えられます。
上記知覚過敏の治療方法にも出てきましたが、ドラッグストアやスーパー、ホームセンターのデンタルケア製品の売り場には、“知覚過敏”と表示されたパッケージの商品が複数あります。
特に効果があるのは、虫歯予防と同様に歯の再石灰化を促進する“フッ素”配合のものや、歯の神経の痛みを感じるスイッチをONにしにくくする“硝酸カリウム”が配合されたものが有効です。
1か月分がワンコインで購入できますので、症状がまだ少ない場合にはこれらの商品をつかってひとまずホームケアから始めてみましょう。
冷たい水がしみたり、歯ブラシが当たると痛みを感じるようになると、歯磨きをすることが嫌になってしまうかもしれません。しかし、虫歯予防、歯周病予防同様に知覚過敏の予防にはプラークコントロールが大切です。
プラークコントロールをすることで、歯の表面を清潔にし、歯の再石灰化に最適な環境を作ることができます。歯を何度も磨いていることと、上手に磨けていることは全く別の話です。
小さなころに、親御さんから教えられて習得していく歯磨き習慣ですが、ご自分の磨き方が上手に汚れを落とすことができているのか、ぜひ一度歯科医院で評価を受けてみてください。
歯科医院では、歯の汚れが付いた部分をピンク色に染めだす薬品により、自分が前歯の裏側を磨くのが苦手なのか、それとも利き手側の小臼歯部分を磨くのが苦手なのかなど、視覚的にとらえることができます。歯科医師や、歯科衛生士から効率的で正しい歯磨き方法の指導を受けたうえで、毎日のホームケアを行うことが重要です。
歯科医院で歯のクリーニングを受ける際に、歯磨き方法の指導を受けることができます。新患で来院した場合、保険適応で2,000円~3,000円の負担が予想されます。
どのような症状についても共通に言えることですが、やはり症状が小さなうちであれば、治療費用も少なく済みます。まずはご自宅でのホームケアから始めることで知覚過敏を予防し、症状が気になる場合には早め早めに歯科医院を受診しましょう。
知覚過敏は保険適応が可能な治療です。歯科医院で正しい歯磨き指導を受けて、症状を悪化させないことがお口の健康維持や、お財布への負担を小さくすることに有効な手段といえます。